社会連携センターPLAT主催 PLATFORUM 「共創人材になろう。もう一歩前へ。」

社会連携センターPLATが主催するフォーラムが2018年12月15日(土)に開催されました。今年は“共創の能力開発”にフォーカス。
セクターを超えて共創を実践するゲストを迎えて行われたフォーラムの様子をレポートします。
日時:2018年12月15日(土) 会場:ナゴヤドーム前キャンパス 主催:名城大学社会連携センターPLAT

ゲストスピーカー
オムロン株式会社 イノベーション推進本部 SDTM推進室長
竹林一氏
オムロンソフトウェア代表取締役社長、オムロン直方代表取締役社長、ドコモ・ヘルスケア代表取締役社長を歴任し、数々の新規事業開発や新会社設立を手がける。現在はセンシングデータ流通取引市場を牽引する。

奈良県生駒市 いこまの魅力創造課 課長補佐
大垣弥生氏
民間企業で10年間販売推進を担当後、生駒市に入庁。多様な主体との協創によって、まちの魅力づくりとファンづくりを進める。2017 年「地方公務員が本当にすごい! と思う地方公務員アワード」を受賞。

株式会社ロフトワークLayout Unit CLO(Chief Layout Officer)
松井創氏
オープンコラボレーションを推進するロフトワークで空間設計や運営を担うレイアウト部門の責任者。Yahoo!JAPAN「LODGE」やパナソニック「WONDER LAB OSAKA」等のプロデュースを担当。100BANCH発起人/オーガナイザー。

昨年に続き第二回目となった今回のフォーラム。産・官・学の枠を超えた共創を推し進めるための極意を学ぶ機会として、3名のゲストスピーカーによる講演に加え、名城大学社会連携センターPLATの事例報告も行いました。

最初に登壇したのはオムロン株式会社のイノベーション推進本部 竹林一氏。竹林一氏はセンシングデータ(IOT、IT技術を活用したデータ)流通市場の創造をゼロから立ち上げるプロジェクトに産・官・学の多様な連携を図りながら取り組む共創の第一人者。イノベーションとは何かといった話題から、竹林氏が実践するイノベーションを生み出すための顧客関係、共感を生む“will”の大切さ、共創を実現するための組織マネジメントについてなど、先駆者ならではの極意をお話しいただきました。笑いを交えながらの興味深い講演に、会場の皆が引き込まれました。

次に登壇したのは名城大学社会連携センターの山本剛毅氏。名城大学は2017年4月に社会と大学をつなぐプラットフォームとして「社会連携センターPLAT」(以下PLAT)を設立。これまでに187件のプロジェクトを立ち上げ、1,292人の学生がプロジェクトに参加しました。その中からいくつかの事例を上げ、PLATが共創を生み出すために行なっている取り組みを紹介しました。
「学内外のニーズを聞く窓口となること」、「共創を生むスペースの運営」、そして「フォーラム等のイベント運営」。この3つをベースに、今後も学生の実践的な学びの場をつくっていくことを宣言しました。

3人目の登壇者は奈良県生駒市役所の大垣弥生氏。大阪のベッドタウンとして発展してきた生駒市は、急速に高齢化が進む中、いかに持続可能なまちをつくるかが課題となっています。大垣氏はシティプロモーション担当者として、まちの魅力づくり、ファンづくりに注力してきました。その中で、利便性や行政施策をPRするだけではなく、「まちに関わること=楽しい」を実現する必要性、そのために行政の固定概念を取っ払って住民に働きかけ、いかに参画者を増やすかという実践的なお話をしていただきました。

最後は株式会社ロフトワークの松井創氏に登壇いただきました。クリエイティブに関わるさまざまな事業を展開し、世の中に新しい価値を生み出すロフトワーク。最近ではパナソニック、カフェカンパニーとの3社コラボで渋谷に誕生した実験空間「100BANCH」が話題を呼んでいます。
松井氏は「100BANCH」の発起人であり、“100年先をつくる100のプロジェクト”をテーマに多様なプロジェクトを100BANCHから発信してきました。ユニークなプロジェクトをどう実現して広めていったのか、そして未来は“will”からつくられるという考えを語っていただきました。

事例報告の後にはパネルディスカッションが行われました。人間学部人間学科の水尾衣里教授が司会を務め、3名のゲストスピーカーに加えて、理工学部情報工学科の鈴木秀和准教授が参加しました。
水尾衣里教授は大学内外を巻き込み、共創を生み出してきた連携事業の第一人者です。また鈴木秀和准教授は大学で教える情報工学とIT業界で起こっている技術革新のギャップを解決したいと、学外からIT分野で活躍するエンジニアを招いたり、ハッカソンイベントを開催するなど、学生に実践的な体験型学習の場をつくることに尽力しています。

ディスカッションでは名城大学からより多くの共創を生み出すために必要な極意ついて考えました。水尾衣里教授からゲストスピーカーへ共創を進めるための仲間づくりや組織マネジメントについて問いかけがあり、ゲストからは突破力を磨くこと、キーマンを見つけることの重要性、そしてこれからの時代に向けて大学組織もアップデートしていく必要があることなどが語られ、たくさんのヒントをもらうことができました。
ディスカションを受けて、水尾衣里教授と鈴木秀和准教授はこれから大学内部にも共創の輪を広げ、仲間づくりをしていく決意を新たにしました。今回のフォーラム全体のキーワードとなったのは“will”。最後は登壇者と会場の参加者みんなで“私のwill”を考えてカードに記入し、フォーラムを締めくくりました。

閉会後は「ムー ガーデン テラス」に移動し、懇親会を開催。名城大学の学生がこれまでの共創プロジェクトを発表するポスターセッションなどが行われました。フリータイムには参加者同士の交流も活発に行われ、今回のフォーラムが名城大学の社会連携の動きに、新しい風を起こしてくれることを期待できるものとなりました。

参加者INTERVIEW
ヤフー株式会社 河原崎英夫さん
プログラミングやデザインの技術を競うイベント「HACK U 名城大学」の担当をしています。Web業界に興味をもつ学生の底上げを図る目的で開催していますが、社内のメンバーをどう巻き込んでいくかが課題。今回のフォーラムに参加し、“will”を発信しきれていなかったのではないかという気づきがありました。

名城大学 法学部 法学科1年 三輪久美子さん
「100BANCH」のことは今回初めて知りましたが、自分のやりたいことに向かっている若者と、それを叶えてあげようとする大人がいるということにワクワクしました。私自身は将来やりたいことを探している最中ですが、学生のうちにいろんな人に会って話をきいて、自分が本当に熱中できることを見つけたいです。

名古屋市東区役所 総務課 鈴木淳さん
役所に勤めていますので、生駒市職員大垣弥生氏の講演には共感するところがたくさんありました。また、オムロン竹林一氏の仲間づくりの話には大きなヒントがありました。役所の仕事は自由な発想や共創が生まれにくいという側面もありますが、自分の“will”を忘れず、また職場での仲間づくりも諦めずにやっていきたい。