外国語学部 准教授
柳沢秀郎

ナゴヤドーム前キャンパス事務室学生支援
キャンパス庶務窓口 小川喜弘

経済学部 経済学科
3年生 岩越祐弥

人間学部 人間学科
3年生 浅野七海

社会連携センター 主事
山本剛毅

社会連携センター 社会連携コーディネーター
宮原知沙

社会連携センターPLAT主催 「行き交おう 仕掛けよう PLATFORUM」 振り返りトークセッション

社会連携センターが初開催したフォーラムは、実り多きものになりました。翌日には主催者と参加者がフォーラムを振り返りながらトークセッションを行い、それぞれの立場で得たこと、感じたことを語り合いました。

社会連携センター主催のフォーラムを開催した狙いは?

山本:今回のフォーラムは、「よりよい連携の生み出し方」というのがテーマで、社会連携のメリットやプロジェクトの進め方を先進的な事例から学ぶ機会になればと企画しましたが、それと同時に私たちの仲間づくりをしたいという狙いもありました。4月に社会連携センターを立ち上げて、社会連携ゾーンshake(以下、shake)を運営していく中で、もっと学内で連携の熱が盛り上がって、アクションが起こるようにしたい、社会連携ゾーンshake(以下、shake)という場所がなぜあるのかを理解してもらいたいと思いました。今回ゲストにお呼びした3名は、私たちと同じような思いで活動をされている方々ですので、その事例を多くの人、特に学内の教職員や学生に聞いてもらって、今後私たちと一緒に動いてくれる仲間を増やしたいと考えました。

宮原:5月くらいから山本さんと話し合いをしながらフォーラムの準備を進めてきて、今回お呼びした3名の方には直接会いにいってヒアリングをさせてもらいました。そのときに、皆さんすごく先進的な取り組みをされているのですが、さまざまな課題を一つ一つ乗り越えて、試行錯誤しながら活動されているということがとてもよくわかりました。私たちも社会連携センターの活動をどういう方向にもっていけばいいのかと日々模索していますが、今回のフォーラムで何かを感じて、私たちの活動に賛同してくれる仲間が見つかると嬉しいなと思っていました。

教職員の方々はフォーラムの開催をどのように見ていましたか?

小川:私は今回に限らず、shakeの立ち上げの時期から学内の調整など社会連携センターの後方支援をしてきた立場ですので、昨日のフォーラムは感慨深いものがありました。フォーラムを実施したことで、今まで社会連携センターが取り組んできたことが具体的な一つの形になって、また次のステップへのスタートラインに立てたのではないでしょうか。また、フォーラム開催のサポートをしながら、私自身も何か刺激を受けられるイベントになればいいなと楽しみにしていました。
柳沢:私はここ2年ほど教育現場にジレンマを抱えていまして、何かと言いますと、一つは学部の垣根を超えた取り組みが少ないこと、もう一つはそうした学生たちがチームを組んで海外で「力試し」をする機会がないことです。ずっと提案はしてきたのですが、なかなか足並みが揃わないうえに受け皿がないと感じていました。そういったことの受け皿として社会連携センターの活動が盛り上がっていけば、教育の可能性は広がるのではないかと期待しながら参加をしました。

学生さんは、昨日のフォーラムに何を期待して参加しましたか?

浅野:私は今3年生なんですが、就職活動のことが頭にあって、これから自分が進む道が少しでも見えたらいいなと思いました。懇親会で行われたポスターセッションにも挑戦したのですが、今まで人前で発表することはあまりなかったので、せっかくの機会だから、自分の経験値を上げられたらいいなと、一生懸命取り組みました。
岩越:僕はshakeで「フューチャーセッション」という、未来のための対話をするワークショップをしています。今回は懇親会のポスターセッションで今まで僕たちがやってきたことをみんなに見てもらいたくて参加しました。活動を知ってもらうことで輪が広がって、また何か新しい風が吹くといいなと思っていました。

フォーラムに参加してみていかがでしたか?

小川:私は大学職員ですので、立場が近い早稲田大学の児玉さんのプレゼンテーションが心に残りました。児玉さんが「学生の成長に携われること、学生の成長を見られることがやりがいになる」と話していましたが、私も大学祭やクラブなど学生支援の仕事をしていますので、学生たちが課外活動を通して成長できるような場を作っていきたいし、ただ場を作るだけではなく、Yahoo! JAPANの植田さんがおっしゃっていたように、常にアップデートしながら、新しい学生支援の在り方をつくっていけるんじゃないかと、自信と勇気をもらえました。
柳沢:横浜市の河村さんが、連携事業に取り組む一番のきっかけは危機感だったとおっしゃっていましたけど、我々も他人事ではなくて、少子化時代に大学がいかに存在感を出して、より良い学生を確保していくかを考えたときに、学部ごとの縦割りの学びだけではだめなんですよね。名城大学は文系も理系もバラエティに富んでますので、その利点を生かして横で繋がっていくことが必要です。そのためにも社会連携センターのような窓口が必要だということが、昨日のフォーラムでも明らかになったのではないでしょうか。

岩越:「フューチャーセッション」でshakeをいつも利用させてもらっているので、社会連携センターの方の思いはいろいろお聞きしていました。昨日あらためて社会連携センターの活動が形になっているのを見て、僕ももっといろいろお手伝いしたいし、新しい挑戦を相談していけたらいいなと感じました。
浅野:私は将来公務員になって、市役所に勤めたいと思っていたのですが、横浜市の河村さんのお話を聞いて、そんなことも市役所の仕事としてやっているんだと、びっくりしました。役所の仕事は堅苦しいというイメージもあったのですが、自分次第でいろいろ可能性が広がるんだなとワクワクしました。

宮原:私は名城大学に来る前は行政のコンサルタント会社にいました。昨日は前職のときにお世話になっていた行政の職員さんもたくさん来ていて、皆さんすごく刺激を受けたと感想をいただきましたので、良かったなと思います。私たち大学もそうですが、行政にも行政ならではの難しさがあります。どうにかしたいと思っている職員の方々は心の中でモヤモヤしたものを抱えていると思いますので、昨日の話が、参加者の方が今後何か仕掛けていく後押しになってくれたら、フォーラムをやった甲斐があります。
山本:参加していただいた方に感想を聞いて、昨日のような出会いの場というのはニーズがあるんだと確信しました。学外の方と出会うチャンスもそうですが、懇親会では学内の先生同士や学生同士が学部やキャンパスを超えた繋がりを持つことができたのが良かったです。また、フォーラムを開催するにあたって、この機会を今後にどう繋げるかという設計は考えていて、このフォーラムでの出会いから、新しいプロジェクトが5つ以上生まれることを目標にしていたのですが、それが実現できたと思います。例えば、「MS-26」という学びの創出支援事業で新しい教育プログラムを展開している理工学部の先生が外部講師の募集を呼びかけたところ、大手のIT系の会社の方が手を挙げてくれましたし、AIに興味を持っているある市の行政職員さんと先生が繋がりました。昨日をきっかけにして、新しい連携が生まれていくのは嬉しいことです。

宮原:大手企業で働く方が学生に、「こういう場では名刺を持っていたほうがいいよ」とか、「SNSなどで繋がる手段があるといいよ」とか、自分を売り込むためのマインドを学生に伝えてくれている場面もありました。私たち職員は学生だからと見てしまうところがありますが、外部の方からいろいろなアドバイスを受けて学生もたくさん刺激を受けてくれたと思います。
山本:職員から見ると学生がポスターセッションで堂々と発表をしているだけでもすごいなと思うのですが、外部の経験豊富な方やグローバルな環境に身を置いている方が、この機会をどう生かすのか、学生に目的意識を持つことの大切さを伝えてくれたりしていて、私たちとは違った視点をもつ大人と学生が触れ合うことは、すごく大事だなと思いますね。会場の熱気もすごかったですし、フォーラムの感想をSNSで呟いていただく方もたくさんいて、名城大学や社会連携センターの活動に期待が集まっていることを感じました。
柳沢:フォーラムの開催をフェイスブックで知ったと言っている方が多くて、私自身はSNSをやっていないですし、SNSにそこまで影響力があるとは思っていなかったので、自分の認識を少しあらためました。いろんな職業の方がいたので、もし私たち外国語学部が連携をするならどんなやり方があるのか、さっそくいろいろ考えたりして、私にとってもいい機会だったと思います。

フォーラムに参加して気づいたこと、今後に生かせそうだと思ったことはありますか?

岩越:僕は人前で喋るのが本当は苦手で、できればやりたくないんです。文章をしっかり考えておかないと何も喋れなくなるくらい緊張してしまうんですが、昨日のポスターセッションでは、なんとかなるかなとあまり構えずに参加することができて、少し自分の成長を感じられました。
浅野:私は人見知りで、自分から知らない人に話しかけにいくことができなくて、昨日も懇親会では知り合いの方と「お久しぶりです」みたいな感じで話しをしていたのですが、その方から「こういう場ではもっと外に出て自分をアピールしたほうがいい」と言われました。「自分が何ももっていなくても、質問をしまくって、相手から引き出せばいいんだよ」と。それで、躊躇するんじゃなくて、一歩踏み出してみようと思えて、ゲストにこられていたYahoo! JAPANの植田さんとも少し話をすることができました。
柳沢:二人ともちゃんとアップデートできていますね。昨日参加した他の学生さんたちも生き生きとしていたし、私たち教員もアップデートしていかないとだめですね。普段は教育と自分の研究で忙殺されがちなんですけれど、それだけじゃなくて、学生たちが人と関わりながら自分の力を試せる場を作っていくことが必要だなと思います。連携の話をもってきていただいたら、いろいろなコーディネートの仕方があると思うので、日本と世界を繋げたり、学生と社会を繋げるような活動をしていきたいですね。
小川:Yahoo! JAPANの植田さんが、社会を動かすのは自分たちの世代だということをおっしゃっていましたが、私は植田さんと同世代ですのでなんか自分に言われているような気がしました。この30代の時期に、普段話さない人と話し、普段体験しないことを体験するといった、情報の交差点を自らつくり、情報と人のネットワークを広げていくことが改めて必要だと感じました。

宮原:社会連携センターでは普段から学生が参加できる連携の場を作ってきてはいるんですけど、手が挙がってこない、一歩踏み出せないということはよくあります。学生は「まだそのステージにはない」とか「準備不足だから」と言うんですけど、昨日のように私たちが学生が参加する場をつくってしまえば、ステージに上がらざるを得なくなるんですよね。それでいざやってみると、「私にもできた」とか「準備不足なんてことはなかった」と、気づいてもらえる機会になるんだろうと思います。今までは商社みたいと言いますか、「大学と連携したい」という声が上がってきたものに対して、コーディネートをするという運営をメインにしてきたのですが、昨日のように社会連携センターが主導で、繋げる場を設けるということを今後もやっていきたいですね。
山本:宮原さんが言うように、学生にステージを用意するのが私たちの役割ですね。昨日の発表を聞いたら外部の方は「名城生すごいな」と思っていただけると思うんですけど、みんなが自信満々にそのステージに立ったわけではなくて、浅野さんや岩越くんのように、一歩踏み出した結果なんだろうと思います。学生なんだから失敗をしてもよくて、でも普段の授業など先生がいて守られている場所からは一歩外に出て、外部の方もいるような場所に立つことで、学生は成長できるんだと言うことに気づかされました。学内の先生たちが、企業の方や異分野の方との出会いを求めていることも分かりましたので、今回のように学生も教職員も外部の方も刺激を受けられるような場を、今後もつくっていきたいと思います。

柳沢:私たち教員も連携をするチャンスは求めていますね。今ですと社会連携に積極的に取り組んでいる先生たちから、こんな話がありますと教授会などでときどき話題が出てくるんですけど、それを社会連携センターが軸となって、教員側にももっと広く伝えるような仕組みができてくると楽しいですね。
山本:そうですね、いざ何かしたくても、どう繋がっていいかわからないという意見は内部からも外部からもあります。そういったときに私たちが窓口となって繋げていけたらいいなと思います。もう一つやりたいのは、shakeを使った場づくりですね。私たちがコーディネートをしなくても、個人レベルでたまたま出会ったノリで、やりたい人同士が繋がってプロジェクトが生まれて、おもしろがれる人たちがどんどん繋がっていく、そういう場所がシェイクだと思っているので、もっと活用してもらえるようにプロデュースをしていきたいですね。
宮原:shakeなどリアルな場での出会いをたくさんつくり、その出会いをきっかけにしたプロジェクトがたくさん出てくるといいですね。私たちが繋いだり、SNSで繋がるという方法ももちろんありますが、本人同士が直接出会って対話をしたからこそ生まれるプロジェクトもあると思います。昨日はまさに、何かやりたい人たちが出会って、化学反応が起きて、プロジェクトが実際に生まれた。フォーラムのタイトルだった「行き交おう、仕掛けよう」が実現できた場でした。ただ交わるだけではなくて、そこから何かが生まれ、仕掛けていく。そういうチャンスを増やしていくことが社会連携センターのこれからの役割ではないかと思います。