地域社会×名城大学ボランティア協議会

学生が主体!
有志が集う ボランティア協議会

名城大学の学生で組織されている「ボランティア協議会」。被災地を支援する災害復興部門、障害者支援施設で補助をするあしたの丘部門、地域を見守る地域安全パトロール部門など、いくつかの部門に別れ、学生たちが主体となって活動している。ボランティアに励む学生たちの思いや活動を通じて感じていることとは? 今年の春から担当部門の代表を務めるという坪井美菜さんと榊原有吾さんに話を聞いた。(取材日2017年3月30日)

学生主体のボランティア協議会

榊原:名城大学のボランティア協議会は大学直属の団体で、僕たちで13代目になります。大学からのサポートは受けていますが、学生が主体となって動いていて、1年生から4年生まで50人ほどが登録しています。災害復興部門や、障害者支援施設でボランティアをするあしたの丘部門、警察とも連動して地域の見回りなどを行う地域安全パトロール部門などがあり、それぞれ部門ごとに活動していますが、お互いの活動内容も報告し合っています。
坪井:その中で、私は災害復興部門の代表を春から務めます。災害復興部門では、被災地を支援するための募金活動をしたり、説明会で学生を募ってみんなで被災地へ足を運んだりしています。
榊原:僕はあしたの丘部門の代表を務めさせてもらいます。あしたの丘というのは、名城大学のすぐ近くにある障害者支援施設のことで、そこで主に利用者の方のスポーツやレクリエーション活動の補助などをさせてもらっています。

東日本大震災の被災地、大島へ

坪井:災害復興部門では東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県気仙沼の大島で、「はまらいんや!大島」という活動を続けています。元々は「よみがえれ大島」というプロジェクトを大学主催で震災直後からやっていたのですが、それをボランティア協議会が受け継ぐことになり、私たちならどんなことができるのかを考えて始まったのが「はまらいんや!大島」です。「はまらいんや」とは、地元の方言で「Let’s」という意味を持つ言葉なのですが、名城生から希望者を40人ほど募って大島へ行き、地元の産業であるホタテの出荷作業のお手伝いをしたり、椿畑の雑草刈りをしたりすることからスタートしました。活動をしている中で、大島をもっと多くの方に知ってもらって、外からも人が来てくれるようになったらいいなと思って、そういう視点で島を見ると、けっこう島の中って起伏が激しいんですけど、休憩する場所もなくて、移動しているとすごく疲れるんです。それで、ベンチを作ろうということになり、昨年は島の各所にベンチを12脚設置しました。

障害者支援施設で利用者さんと交流

榊原:僕たちのあしたの丘部門では、施設の利用者さんとレクリエーションをしたりスポーツをしたりして交流しています。ネットの下にボールをくぐらせる「ゴロバレー」やカーリングにローラーをつけて室内でプレイする「カローリング」というスポーツがあるのですが、施設には障害者スポーツの大会で活躍している方もいたりするので、毎回こちらも本気で、みんなで熱くなってプレイしています。また、毎年10月の第1日曜日にあしたの丘祭りというイベントがあるのでそのお手伝いをしたり、利用者さんの中に車椅子バスケットボールをやっている方がいて、そのチームのサポートをしたりといった活動もしています。今の課題としては、あしたの丘の施設で僕たちが活動できるのは施設のスタッフさんがいる時間などに限られていて、授業時間と重なってしまい、人がなかなか集まらなかったり、行ける人が限られてしまうことです。先輩が車椅子バスケットボールチームのサポートの話を持ってきてくれたりして今の活動があるので、僕があしたの丘部門の代表を務めるようになったら、先輩方に引けを取らないように活動の幅を広げていけたらいいなと思っています。

総合大学の幅広い専門性を生かす

田中:大学が持っているテクノロジーが地域の課題を解決するってこともありますよね。特に福祉の面では、IT技術などで、体に障害のある方や高齢者の手助けをしたり、介護ロボットが高齢者をサポートしたりすることも将来的には考えられます。名城大学は総合大学で、理工学部や人間学部、薬学部などがありますので、福祉の分野でも何か面白いことができたらと思っています。
宮島:現在ナゴヤドーム前キャンパスに設置されているのは外国語学部のみですが、来年度には人間学部と都市情報学部が移転してきます。それぞれの専門性を生かして、福祉や都市政策の面でより連携をしていきたいですね。
田中:学部の移転に伴って、ナゴヤドーム前キャンパスの学部学生の数は130人ほどから2000人規模へと拡大するので、今から楽しみです。また、名城大学との連携協定は包括連携といって、全学部に及ぶものとなっています。他のキャンパスに設置されている学部も理系、文系と多岐にわたるので、総合大学ならではの様々な知恵を集結できたらいいですね。

ボランティア活動のきっかけは?

坪井:最初に活動に参加したのは、1年生の12月です。それまでボランティアをしたことはなかったのですが、学内の掲示板で「はまらいんや!大島」の活動を知って、東北にはまだ行ったことが無いし、行ってみようと。
実際に参加したら、ボランティア協議会には凄い人たちがいっぱいいるなと思ったんです。先輩たちは自分のことを自分の言葉で人に伝えるのが上手で、すごく訴えかけてくるものがあって感動しました。同じことでも全員言い方が違うし、ものを見る視点も違っていて、でもふとした瞬間に通じることもあって。そうやってみんなと活動するのが面白くて続けていたら、先輩にボランティア協議会のスタッフをやってみない? と誘ってもらいました。
榊原:僕も1年生のときからやらせてもらっていて、教員免許を取ろうと思っているので、ちょっとでも経験になればなと思ったのがきっかけです。あと、うちのおじいちゃんが地域の交通立哨(こうつうりっしょう)のボランティアを何十年も続けていて、表彰されたり、地域の方から慕われている姿をみて、自然と自分もボランティアで地域に貢献したいと思うようになりました。

ボランティアの魅力は人との“つながり”

坪井:協力してくれる人の存在の有難さも知りました。ボランティア活動って能動的に動かないといけなくて、自分のビジョンを伝えてはじめてそれに協力してくれる人がいるんです。振り返ってみると、今まで小中高と過ごしてきて、私がやりたいことに、先生や親が手を差し伸べてくれていたんですよね。そういう周りの協力があったことにも、あらためて気づきました。
榊原:メンバーがすごく仲がよくて、いい雰囲気で活動ができていると思います。つい部門ごとに固まってしまいがちですが、ボランティア協議会のメンバー全員で一致団結できる雰囲気は、次の世代にもつなげていきたいと思います。坪井:今やっている災害復興の活動は、学内で公募をすると募集人数の倍ほどの学生が説明会に来てくれるんです。そういうふうに活動に興味を持ってくれた人と挨拶するようになったり、話すようになって、そこからつながりがどんどん増えていくし、もちろん被災地でもたくさんの人たちと出会います。そうやって増えていくつながりが面白いなと思っています。

榊原:ボランティア活動を実際にやってみると、協力していただく地元の方とか、一緒に活動した仲間との絆がすごく深まるのが実感できます。また、自分達の活動をアピールすればするほど参加してくれる人が増えて、同じ目的に向かって動けるのは楽しいですね。