社会連携センターPLAT主催 PLATFORUM 2019
#共創によるソーシャルビジネスの生み出し方

社会連携センターPLATが主催するPLATFORUM 2019が2019年12月5日(木)に開催されました。
共創ビジネス実践者である起業家3名をゲストスピーカーに迎えて行われた、フォーラムの様子をレポートします。

ゲストスピーカー
Global Mobility Service株式会社
代表取締役 社長執行役員/ CEO 中島徳至氏
1967年岐阜県生まれ。これまでに3社を起業。現在はFinTechを活用し、真面目に働く貧困層が自動車ローンを利用できる仕組みを創出。世界から貧困をなくすための取り組みを行っている。

一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事 
慶應義塾大学大学院 非常勤講師 齋藤潤一氏
1979年大阪府生まれ。シリコンバレーのITベンチャーでブランディング・マーケティング責任者となる。帰国後、2017年に宮崎県新富町のこゆ財団代表理事に就任。持続可能な地域づくりと人材育成を行う。

株式会社TESS 代表取締役社長 鈴木堅之氏
1974年静岡県生まれ。知的障害者更生施設指導員、小学校教員を経て、2008年に東北大学発ベンチャー株式会社TESSを設立。足こぎ車いす「COGY」で、誰もが希望を見出せる社会の実現を目指す。

今年で3回目となる「PLATFORUM」。社会連携センターPLATが掲げる産官学連携の実例を学び、共創を生む出会いの場となることを目指して開催されています。今回は、ビジネスと社会課題解決を両立するソーシャルビジネスの生み出し方にフォーカス。複雑で難しい社会課題を解決するソーシャルビジネスに挑み、SDGs(国連サミットで採択された、持続可能な開発のための2030年までの国際目標)に取り組む共創実践者3名の講演からスタートしました。

先陣をきったのはGMS(Global Mobility Service株式会社)代表取締役 社長執行役員/ CEO 中島徳至氏。中島氏はフィリピンで三輪タクシーのドライバーが車のローンを組めず貧困から抜け出せずにいるという社会課題に遭遇。車両に取り付けるIoTデバイスを自社開発し、ドライバーのローン返済や働きぶりを可視化することで、ローンを利用できる仕組みを創出しました。真面目に働く人が正しく評価される社会をつくりたいという、強い信念でソーシャルビジネスに取り組む中島氏の姿勢からは学ぶものがたくさんありました。そして、大きなチャレンジには失敗が必要不可欠であり、失敗の先に成功があるというメッセージもいただきました。

2人目の登壇者は、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構代表理事の齋藤潤一氏。齋藤氏はシリコンバレーのITベンチャーでの経験などを経て、現在は人口17000人の宮崎県新富町で地域づくりや人材育成を行っています。そのユニークな経歴や、新富町で実践している地域活性化のためのさまざまな取り組みとその成果についてお話しいただきました。
また、「1勝99敗の精神」、「Don’t Judge(判断するな)」、「仲間づくり」といった共創ビジネスに必要な極意と、ベースとなるアントレプレナーシップ(起業家精神)についてなど、これからの時代に必要なマインドについて、貴重なお話をいただきました。

3人目の登壇者は株式会社TESS 代表取締役社長鈴木堅之氏。東北大学が研究する、足の反射の力を呼び起こす車いすに魅せられ、小学校の教員を辞めて東北大学発のベンチャー企業を立ち上げた鈴木氏。産学が連携する大学発ベンチャービジネスの難しさや、医療・福祉業界への参入の難しさなど、実践者ならではのエピソードを交えながら率直に語っていただきました。
さまざまな壁にぶち当たりながらも活動を続けてきたのは、「障がい者も健常者も共に希望を見出せる社会」を実現するため。共創社会はみんなの優しい気持ち、前例にとらわれない柔軟さによって、無限の可能性が広がるというお話をしていただきました。

講演の後には、人間学部教授水尾衣里氏をモデレーターに、ゲストスピーカー3名に再度登壇していただき、パネルディスカッションを実施しました。水尾教授が問いかけたのは、目の前の課題に対してどう一歩を踏み出すのか。それに対し、お三方が「誰もやらないから、やるしかなかった」と口を揃えました。
実現したい未来のために、誰かがやるのを待つのではなく自らチャレンジする。その起業家精神が、新しい未来をつくることを教えられました。仲間づくりの極意については、感度が近い人が集まる場で弱いつながりをつくること、活動理念に共感を得られれば仲間が増えていくこと、今いる場所で仲間づくりができないときは、場所を変えてでも諦めないことなどが語られました。

共創するソーシャルビジネスを第一線で実践するお三方が感じているのは、日本は今がターニングポイントだということ。起業家、イノベーターと言われる人たちの声が表に出るようになり、何かを変えようという気概のある人たちが増えていると話します。
今の日本にはチャレンジしやすいセイフティーネットがあり、実践者からバリューのある話を聞く機会があることも、ソーシャルビジネスが生まれやすい要因と言えるようです。
世界や日本の課題、未来の人材育成を担う大学の課題など、今回のフォーラムをきっかけに、参加者が自分の目の前にある課題を自覚し、解決のための一歩を踏み出してくれることが期待できそうです。

パネルディスカッションの最後には、今回のフォーラムのテーマの一つだったSDGsを達成するためのキーワードを記入していただきました。齋藤氏からは、「今の連続」というキーワード。過去でも未来でもなく、今を楽しく、自分を大切に生きることで、描く未来に近づくというお言葉をいただきました。鈴木氏のキーワードは「諦めない社会」。鈴木氏が何度も壁を超えてきたように、障がい者も健常者も自分の可能性を諦めないことが、目標達成に必要であるとお話いただきました。中島氏が掲げるのは「1億人にファイナンスの機会を提供する」。デジタルの力を使って、誰一人取り残さない社会を目指す意気込みを語っていただきました。

フォーラムの締めくくりは、場所を「MU GARDEN TERRACE」に移し、懇親会(マッチングタイム)を行いました。会場にはハッシュタグ付きのテーブルを用意し、同じタグに興味をもつ人同士が自然と出会える仕掛けをつくりました。
また、学生・教員・社会人混合の1分間ピッチが行われ、名城大学からはチャレンジ支援プログラムやスタートアップコミュニティ、ハッカソン、PLATサポーターズのチームなどがピッチに挑戦。また、本学教員からの取り組み発表、愛知県や名古屋市、民間団体によるピッチも行われ、活気のある時間となりました。