事例報告
「社会連携センターを地域と大学の活性化エンジンに
~名城大発・共創を生み出す仕組みづくりと目指す連携の形~」

2018年12月15日(土)に開催された社会連携センターPLAT主催のフォーラム。
名城大学からは、これまで数々の共創を生み出してきた社会連携センターPLATの取り組みについて、報告させていただきました。

山本剛毅氏:社会連携センターの取り組みについて紹介したいと思います。最初に自己紹介ですが、学生の頃から地域活性に興味があり、どのようにすれば地域の魅力が伝わっていくのかということを考えていたのですが、何をしていいかよく分からなかったんです。そんなときに岐阜で地域活動に取り組むNPO法人G-netの当時代表だった秋元さんの講演を聞く機会がありました。

秋元さんが言っていたのは「大学がつまらないとか、僕のまちはイケてないと相談にくる学生がいるが、それは君がつまらないからだよ」ということ。“魅力的な地域には魅力的な取り組みがあって魅力的な人がいる”。これが大事なんだと学生ながらに思いました。

現在は大学職員となって、大学をどう魅力的にしていくかということを考えているわけですが、地域も大学の魅力づくりも共通するのは構成員の活動量だと思います。大学も地域も構成員の活動量が活発になると、魅力的な人が集まって、魅力的な場所になるのではないでしょうか。

では、どうしたら活動量を増やすことができるかというと、活動しやすい仕組みをつくることではないかと。誰かとつながりやすくすること、活動しやすい場所をつくること、やり方を学んだり真似たりする機会があること、こういった仕組みが必要ではないかと考えました。この考えをベースに社会連携センターではさまざまな活動に取り組んでいます。

社会連携センターの紹介をさせていただきますと、我々は「集え、名城大。」をキャッチコピーに、社会と大学をつなぐ窓口を担っています。社会と大学をつなぐプラットフォームになりたいという思いで、通称「PLAT(プラット)」と呼んでいます。大学の教育や研究と社会の資源をつなぎ、その力で社会課題の解決に取り組むということをミッションとして掲げております。

昨年このPLATフォーラムにゲストで来ていただいた、横浜市の共創推進室で官民連携に取り組む河村さんにいろいろアドバイスをいただきました。その中で「大学の公共性を生かせば、産・官・学のハブ的な役割になれるのでは」と言っていただき、なるほどなと。この地域で共創に興味のある方々がもっとつながりやすくなって、何かコトを起こしやすい、そういう社会づくりに大学という場所を使いながら取り組んでいけたらと思っております。

「中部エリアの企画会議室のような存在になりたい」と志を高く掲げて、先ほどオムロンの竹林さんがおっしゃっていたように、ふらふらといろんな人のところに顔を出して、つながりをつくりながらアクションを起こしてきました。2017年4月に社会連携センターを立ち上げて以来、企業や行政、NPO、そして先生方からいただいた相談件数は326件。その中から何かしらコトにつながった事例が187件あり、いろんな方から相談をいただけるようになったという実感をもっています。

いくつか具体例を紹介させていただきます。西尾青年会議所と一緒に学生がまちについて考える学びの場をつくるプロジェクト、愛知県でスポーツと地域活性のかけ合わせを考えるアイデアソンの開催、名古屋市がホストタウンとなっているカナダの車いすバスケットボールチームの事前キャンプの受け入れ、ローソンと地元企業と一緒に愛知の食文化を発信する商品開発の取り組みなどがありました。

このような取り組みを我々は3つの仕掛けから生み出しています。一つは窓口をつくって学内外の意見をしっかり聞き、学内外のニーズをつなげていくこと。学外から依頼をもらったときは、どうやったら学生の学びに転換できるかということを大事にしています。その結果、今のところ正課外だけでも1,292名の学生が何かしらの社会連携事業に取り組んでいます。

二つめは「shake(シェイク)」というスペースの運営です。このスペースは垣根を超えてつながりやすい場所をつくっていきたいという思いがベースにあります。パートナーシップ団体と一緒に運営し、週末はアイデアソンやハッカソンのようなイベントを開催、平日の夜は地域の方たちが自分の好きなことをテーマに交流会・勉強会を開催しています。

現状はパートナーシップ団体が100件近く、夜の「shake」を見守ってくれる日直が145名、予約をして使っていただいた方は1万人以上にのぼり、人のつながりを生み出すことが徐々にできてきたのかなと思っています。

「shake」は営業装置のようなもので、我々が多様な人とゆるやかにつながるキッカケをつくことができる場所です。ここからブレイクダンスの世界大会をキャンパス内で開催することにつながったり、奈良県の移住促進について学生が学ぶご縁をいただいたりという事例が出てきています。

「shake」のこれからの課題は、利用者同士がつながること、そして社会課題に向き合うプロジェクトをつくることです。これらを次のフェイズと捉え、現在は社会人や学生が集まるコミュニティのメンバーと一緒に、テクノロジーを使って「shake」の機能を拡張させることができないかと作戦会議をしています。

仕掛けの3つめは、今日皆さんに来ていただいるフォーラムです。多様な人のつながりづくり、先進事例から学ぶ場として開催しています。さらに、もっと少人数でテーマを絞った集まりというのも企画したいと思い、「PLATラボ」という仕組みをつくりました。

その第一回目は「共創空間のつくり方」というテーマで、理工学部 建築学科 谷田研究室が旗ふり役となり、紀伊国屋書店やデンソー、スノーピークビジネスソリューションズなど異業種の方をお招きして一緒にアイデアを出し合いました。そこから生まれたのが本棚の中に人が入って本を読むことができる「book worm」という取り組みです。本屋さんの本棚の中にすぽっと入れたらいいのにという谷田准教授の想いをベースにアイデア出しをしたものが形になりました。

我々が行っているこのような活動は共創人材の育成がテーマです。これからの時代は共創のスキルが求められます。共創人材の育成は企業や社会が大学に求めているニーズだと考えています。授業でインプットをするだけではなくて、プロジェクトベースでアウトプットする、実践的なトレーニングの場を提供することが必要なのです。そこで、社会をフィールドにした実践型プログラム「IMPACT!(インパクト)」を新たに始めました。 

「IMPACT!」ではリーダーシップ能力を開発すること、デザインシンキングを身につけること、社会で実装できるプランを出していくことなど、課題解決型の授業をしながらプロジェクトベースの学びの場を創出しています。

もう一つ新たにスタートしたのが「チャレンジ支援プログラム」です。これからの社会の動きや世界の動き、テクノロジーについて学び、自分はどう大学生活を過ごしていくか、何をやっていきたいのかということを考えるプログラムです。社会連携センターにて、本プログラムのキャリアセミナーやデザインシンキングセミナーなどの企画を支援しています。ほかにヤフー株式会社と連携した文系理系の垣根を超えたチームで挑むハッカソンイベントなども行っています。

地域と大学の関係性というのは運命共同体ではないでしょうか。いい地域にはいい大学があって、いい大学があればいい地域になっていく。企業との連携については、CSV(共通価値、共有価値)という考えで、企業の売り上げのためではなく、社会課題に対して一緒にアプローチをしませんかというお話をいただくと、大学での学びや研究につなげやすくなります。

最後に私の“will”をお伝えして終わりたいと思います。“will”は「名城大学からもっと実践的な学びの機会をつくり、社会課題に取り組んでいくこと」です。一緒にやれそうだなという方はぜひつながっていただければと思います。いろんな資源を掛け合わせて、新しい価値をつくっていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。