農学部 応用生物化学科 応用微生物学研究室 加藤雅士教授
農学部 応用生物化学科 食品機能学研究室 林利哉教授

ローソン×名城大学

発酵王国・愛知が誇るみりんの
魅力を伝える弁当を共同開発

ローソンと名城大学のコラボレーションによる新商品「みりん香る! 直火豚生姜焼重」が2018年11月13日(火)より、東海ならびに北陸地方のローソンにて限定発売された。商品開発の監修を務めた農学部の加藤雅士教授と林利哉教授に、開発の経緯と商品の魅力を伺った。(取材日2018年11月1日)

伝統製法で作る
みりんのおいしさを味わう弁当

加藤:東海地方の伝統である醸造文化の魅力を伝える商品というコンセプトで、本みりん(みりん風調味料と区別するため、本みりんと呼ばれます)を前面に打ち出したコラボ弁当を作りました。
本みりんの歴史は古く、江戸時代後期には知多半島に100軒以上あった酒蔵で、酒粕からつくられた焼酎ともち米、こうじを使って本みりんが作られるようになりました。
知多半島は豊かな濃尾平野から農作物がもたらされたこと、江戸へと物資を運ぶ海運に恵まれていたこと、御三家のお膝元で財力に余裕があったことなどから、本みりんやみそといった手間のかかる発酵調味料の製造が盛んになり、豊かな食文化が育まれてきました。
コラボ弁当には、現存する最古のみりん蔵といわれる九重味淋(ここのえみりん)が、昔ながらの製法で作る「九重櫻」を使用しています。コンビニ弁当で「九重櫻」のような高級な本みりんが使われるというのは特別なことではないでしょうか。
昨今は本みりんに似せたみりん風調味料などが代替品として普及していますが、伝統製法で作る本みりんを後世に残すためにも、弁当で本当のみりんのおいしさを知ってもらえたらと思います。

加藤雅士教授

本みりんのおいしさを科学的に分析する

すでに専門家の間では知られていることですが、本みりんの甘み成分を実際に分析してみると、ブトウ糖に加えて上品な甘みのイソマルトースというオリゴ糖が多く含まれていることが分かります。このイソマルトース、腸内のビフィズス菌を増やすことも知られています。さらに、アミノ酸やペプチドといったうまみ成分、有機酸という酸味も含まれており、調味料に使うことで、複雑で深い味わいをもたらしてくれます。
今回は本みりんだけでなく、みりん粕を使っていることも大きなポイントです。みりん粕は本みりんを製造する過程でできる副産物で、漬物の製造などに使われているため、一般に市販されることはあまりありません。今回は調理する前の豚肉を貴重なみりん粕に漬け込むことで、みりんの甘みやうまみを豚肉にしっかり浸透させています。
みりんが香る豚生姜焼きとみりんを贅沢に使った濃厚なたれ、ふっくらご飯が層をなす生姜焼き重は、最後のご飯一粒までおいしく食べられると思います。

食に力を入れる
農学部ならではのプロジェクトを

ローソンとのコラボレーションによる商品開発は2回目となりますが、学生のプロジェクトベースのアクティブラーニング(課題解決型の学生の能動的な授業)のための生きた教材として、今後も積極的に取り組んでいきたいと考えています。
社会とつながることで学ぶ課題がよりリアルになり、学生たちにとって貴重な機会となります。大学としても社会貢献という使命を果たせますので、このような取り組みは社会全体にとってハッピーなことではないでしょうか。
今後はより学生主導でプロジェクトを進行し、今までにないチャレンジングな商品開発ができたらと思っています。

林利哉教授

脳とカラダの健康にいい「豚肉」を使用

:今回のお弁当は、みりんを主役に豚肉を使った弁当となっています。
豚肉には疲労回復ビタミンともいわれるビタミンB1が豊富に含まれていますが、生姜焼きにすることで、生姜の成分がビタミンB1の体への吸収を高めてくれることが分かっています。豚肉には良質なタンパク質が豊富に含まれることは周知の事実ですが、生姜のタンパク質分解酵素は豚肉をやわらかくする効果もあり、豚肉料理に生姜がよく使われるのは理にかなっているといえます。
また、豚肉の脂肪には健康にいいとされる脂肪酸が多く含まれています。アラキドン酸は脳の成長に必要な大事な栄養素の一つですし、オレイン酸は悪玉コレステロールを減らして体内に脂肪が溜まりにくくする働きがあるといわれています。豚肉は健康面でも大変優れた食品なのです。

みりんと豚肉の相乗効果でおいしさアップ

生姜と豚肉の関係と同様に、みりんと豚肉も相性が良いといえます。みりんは糖分とアルコール分が多い調味料ですが、みりんの糖分には肉の水分を外に逃さず抱え込む性質があり、豚肉がジューシーでやわらかくなります。
さらにみりんにはアルコール分が多く含まれているため、食材への浸透率がよく、みりんに含まれる甘み成分やうまみ成分が豚肉にしっかりと入って、豚肉のおいしさをアップさせます。
今回はみりん粕も使っていますが、豚肉をみりん粕に漬け込むことで、おいしさが浸透するのはもちろん、豚肉がよりやわらかくなり、みりんと豚肉の相乗効果が高まっているといえます。

商品開発では、
学生たちの発想力に期待

私共の研究室では研究活動とは別に食肉加工品の商品開発に取り組む機会があります。その中で学生に期待しているのは、すっかりアタマがかたくなった我々では思いつかないような発想やアイデアです。最近ではタピオカ入りのソーセージを作ってみるなど、斬新なアイデアを試したりもしました。
今回のコラボ弁当は学園祭期間中にゼミ生やOBの学生に集まってもらい、試食会を実施しました。
学生は企業の商品開発に参加することで、座学だけでは学べない生きた情報を得て経験を積むことができますし、企業は学生からのフィードバックを受けることができると思いますので、共同開発はお互いにとてもいい機会になっています。
今後は学生たちを巻き込みながら、第3弾、第4弾とローソンとの共同開発をしていきたいと思いますので、次回のコラボレーションにもぜひ期待していてください。