農学部 応用生物化学科 応用微生物学研究室
加藤雅士教授

農学部 応用生物化学科 食品機能学研究室
林利哉教授

ローソン 名城大学 共同プロジェクト

たまり醤油を使った商品を通して
東海地方の醸造文化に触れてほしい

ローソンと名城大学が初めてタッグを組み、東海地方の醸造文化をアピールする商品を共同開発した。2018年6月5日(火)より、東海地方ならびに北陸地方のローソンにて期間限定発売されるのは、「たまり醤油の味わい広がる照焼チキン弁当」と「手巻きおにぎり たまり醤油の照マヨ鶏そぼろ」の2種類。東海地方につながりの深い発酵調味料であるたまり醤油やみりんを使い、甘辛くてごはんに合う照焼きチキンと鶏そぼろを使った商品を商品化した。プロジェクトに参加したのは、発酵・醸造について研究する加藤教授と畜産物に詳しい林教授。お二人に商品の魅力と開発の裏側にある思いを聞いた。(取材日2018年5月21日)


東海地方で愛される
発酵調味料・たまり醤油

加藤:たまり醤油が東海地方を中心に生産されている醤油であるということをご存知でしょうか? たまり醤油は、みそを作る過程で滲み出る液体だけを集めたのが始まりといわれています。ふつうの醤油は大豆にほぼ同量の小麦を加え、3ヶ月ほどかけて熟成させるのに対して、たまり醤油は大豆のみ、もしくは少量の小麦を加え、1年、長いものでは3年間発酵・熟成させてやっと完成します。多くの大豆を使い長期間発酵させるため、とろみや濃厚な旨味、独特の香りが生まれるのです。普通の醤油と比べて塩分量は少なくヘルシーで、タンパク質も豊富ですが、製法に時間や手間がかかるため、出荷量は醤油全体の2%(2015年時点)に留まっています。

東海地方は江戸時代以降、大阪と江戸の中継地として水運に恵まれたことから食品産業が発達し、豆みそ文化とともに時間や手間がかかるたまり醤油も大切に作られてきました。たまり醤油だけでなく、みそやしょうゆ、みりん、酢といった発酵調味料の製造も盛んであり、東海地方独自の豊かな食文化を育んできたのです。

たまり醤油×みりんでおいしさ倍増

加藤:照焼チキンにはたまり醤油と合わせて、地元産のみりんも使用しています。みりんの甘さがたまり醤油のコクを引き立て、味に深みをもたせてくれるのです。みりんは大変面白い調味料で、成分を分析してみるとイソマルトースというオリゴ糖が多く含まれていることが分かります。砂糖とは違ったまろやかな甘みがあり、整腸作用も期待できます。
今回販売する商品は、最終段階で学生たちに試食をしてもらい決定しましたが、たまり醤油とみりんを使った甘くてコクのある味つけは、きっと東海地方の方々の口に合うと思います。この弁当やおにぎりが、地元の食文化への理解を深めるきっかけになれば嬉しいです。

発酵・醸造文化を世界へアピール

加藤:私は微生物学を専門としていて、東海地方の食文化として発展した発酵、醸造について研究をしています。安くて早くておいしいものが求められる時代に、時間やコストがかかる醸造、発酵の文化は先細りになっていますが、味わいの面でも機能面でも優秀な伝統製法を守っていきたいと思っています。我々ができるのは、科学の目でその良さを提示すること。今回のようなプロジェクトを通して、地元の人の理解や興味を広げるとともに、醸造、発酵を地元の誇れる文化として、広く世界にアピールしていきたいと考えています。

発酵調味料が鶏肉のおいしさを引き出す

:私は畜産物利用学といって、乳・肉・卵の加工と機能性に関する研究を行なっています。中でも最近は肉や乳を主たる研究対象として、安全でおいしく、かつ健康に役立つ製品の開発に資する加工技術を探究しています。今回のプロジェクトは鶏肉を使った商品開発ということで参加をさせてもらいました。
たまり醤油の塩分やアミノ酸は、鶏肉のおいしさにプラスに働く作用があります。塩分は肉の保水力を高めるためジューシーに仕上がりますし、アミノ酸は鶏肉の旨味成分イノシン酸との相乗効果で、旨味が増強されることが期待できます。また、牛や豚に比べて淡白な味わいの鶏肉は、コクのあるたまり醤油やみりんといった発酵調味料と相性がいいといえます。

鶏肉の健康効果にアスリートも注目

:鶏肉はコンビニでも真空パックで売られるなど、ちょっとしたブームになっていますが、必須アミノ酸をバランスよく含み、良質なタンパク質が摂れる優秀な食品です。さらに飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸という3つの脂肪酸が理想に近い比率で含まれており、動物性脂肪の中で鶏肉は非常にバランスがいいのです。飽和脂肪酸と聞くと、健康によくない印象を受ける人もいるかもしれませんが、摂取量が少ないと脳疾患のリスクが上昇することが分かってきて、近年では厚生労働省も飽和脂肪酸の摂取を推奨しています。
鶏肉の健康効果はアスリートからも注目が集まっています。鶏肉に比較的多く含まれているカルノシンやアンセリンといったペプチドには抗酸化作用、疲労回復、運動能力の向上、持久力アップなどの作用があるのです。日本は元来、動物性脂肪をあまり摂らない食文化でしたので、肉は根拠を超えて悪者扱いされてしまう傾向にありますが、鶏肉は大変優秀な食品なのです。

企業とのコラボで現物主義の学問の場を

:私の研究室では現物主義をコンセプトの1つに掲げています。サイエンスの基礎や長期的なスパンでの研究ももちろん大切ですが、本校のような地方の私立大学は、比較的短い時間軸で社会の役に立ち、地域貢献できるような研究成果を具現化することも役割の一つではないかと考えています。そういう意味でも、今回のプロジェクトは意味のあるものでした。
今力を入れているのは肉の発酵技術の研究です。肉を発酵させることで、味わいや安全性、健康にどう作用するかといったことを追究しており、民間企業とも協力して、サラミやドライソーセージ、生ハムといった発酵肉の商品開発、品質改良などを積極的に行っていきたいと考えています。また肉だけでなく、有用な乳酸菌の探索や、それを利用した新規発酵乳製品の開発といった課題にも対象を拡げています。

たまり醤油を使用した照焼ソースとマヨネーズ、鶏そぼろを合わせ、甘辛くコクのある味に仕上げました。

名城大学コラボ商品 手巻おにぎり(照マヨ鶏そぼろ)

たまり醤油の濃厚なコクと風味が特徴の照焼ソースをつけてじっくりと焼き上げました。別添のマヨネーズで更に濃厚な味をお楽しみ頂けます。

名城大学コラボ商品 たまり醤油の味わい広がる照焼チキン弁当