早稲田大学教務部教育連携課
児玉千加代

横浜市政策局共創推進室
共創推進課担当係長 河村昌美

ヤフー株式会社コワーク推進部長
オープンイノベーションユニットLODGEサービスマネージャー 植田裕司

社会連携センターPLAT主催
「行き交おう 仕掛けよう PLATFORUM」実施報告

2017年12月21日(木)に開催した「行き交おう 仕掛けよう PLATFORUM」。
社会連携フォーラムで実施した事例報告やパネルディスカッションの内容を報告します。

日時:2017年12月21日(木)15:00〜18:00
会場:ナゴヤドーム前キャンパス北館DN301
主催:名城大学社会連携センターPLAT

ゲスト
早稲田大学 教務部教育連携課
児玉千加代氏

グローバルリーダーの育成に力を入れる早稲田大学で、社会連携教育に7年以上携わり、学生が自ら考え行動する機会を職員主導で作り出している。

横浜市政策局共創推進室 共創推進課担当係長
河村昌美氏
スタジオジブリやポケモンとのタイアップ、ドコモのAI技術を活用したごみ分別アプリの開発など、次々と話題のコラボ事業を生み出す横浜市で、民間との連携を第一線でけん引し、事業を成功させてきた仕掛け人。

ヤフー株式会社コワーク推進部長
オープンイノベーションユニットLODGEサービスマネージャー
植田裕司氏
Yahoo! JAPANの新オフィスに誕生した、日本最大級のオープンコラボレーションスペース「LODGE(ロッジ)」の立ち上げに携わり、オープン後は運営責任者となる。

児玉千加代氏
「自らを動かす勇気を育てる
社会連携教育、大学職員の取り組み」

私は1995年に早稲田大学教育学部を卒業し、早稲田大学に入職しました。大学の職員として人事部厚生課、広報室広報課を経まして、2010年6月から教務部社会連携推進室(これが現在の教務部教育連携課となりますが)に配属となり、社会連携教育に携わって7年以上ということになります。「教育連携課」というのは、あまり聞き慣れない部署名だと思いますが、時代ごとに変遷をたどってきました。今から約20年前の1996年、教務部に教育連携課の前身となる「学外連携推進室」が発足しました。社会的には科学技術基本計画が策定された年で、組織的な産官学連携活動の重要性が謳われた年と合致し、このころから産学官連携が拡大していった時代です。そして2002年には、特に理系の研究分野での取り組みを組織的に推進するため「研究推進部」が新たに設置され、学外連携推進室は「教育連携事業開発室」という名称に変更し、教育分野の連携を進めていく部署になりました。 教育連携事業開発室はその後2006年に「社会連携推進室」に改称しました。ちょうどこの2006年は教育基本法が改正になった年で、それまで大学の目的というのは研究と教育という二本柱でしたが、教育基本法の中で大学の第三の使命として社会貢献ということが明文化された年でもあります。 それから10年後の2016年10月、大学とあらゆるステークホルダーとの関係を強化する目的で総長室に「社会連携課」を新たに設置し、社会連携推進室から改称した「教育連携課」は、さらに教育に特化した社会連携を行う部署として明確に位置づけられました。

この約10年にわたる社会連携推進室時代には、たくさんの自治体、企業の方から大学と連携をしたいというご要望をいただき、さまざまな形態の社会連携を実施してまいりました。例えば自治体からは食育推進計画の改定に協力してほしいですとか、地域課題の調査研究を依頼したいですとか、企業からは、企業トップの講演会を早稲田大学で実施したいなど、多種多様のご要望がありました。そういったとき、私たちはただその要望を実現するのではなく、学生が参加できるワークショップを提案したり、学生の学びのフィールドを探している教員に調査研究のお声がけをするなど、教育を基軸とした社会連携にこだわってきましたので、「社会連携教育」という言葉を自然と使うようになっていました。ただ、私たちは大学職員です。どちらかというと職員は支援というイメージがありますので、大学職員が教育を語るというのはハードルが高く、「社会連携教育」と高らかに言ってよいものだろうかという葛藤もありました。そんな最中、2032年に迎える早稲田大学創立150周年に向けて策定した中長期計画「Waseda Vision 150」の取り組みの中で、「社会連携教育の推進プロジェクト」が設置されることとなり、社会連携教育の定義づけをするという試みを行いました。さまざまな議論の末、社会連携教育とは、「キャンパスの外で、社会との具体的な関わりを通じ、学生自らが『実社会において生きること、生きていくこと』に関する気づきを引き出すこと。そして、その気づきに応じて、何を、如何に学ぶのかを考え直すきっかけを作ること」という定義をプロジェクト会議の中で決定しました。この定義の中の「気づきを引き出す」「きっかけを作る」ということ、こうした場づくりが、大学職員としての役割であるのだと考えています。

では、なぜ社会連携教育が必要とされるのか。「Waseda Vision 150」では「人間力、洞察力を備えたグローバルリーダーの育成」を謳っています。人間力、洞察力を備えたグローバルリーダーというのは、キャンパス内での理論的なアプローチとキャンパス外での実践的アプローチの相乗的なスパイラル効果によって育成されるものと考えており、キャンパス外での実践的アプローチの一形態として、社会連携教育が注目されているということが理由の一つです。さらに、人間力・洞察力を備えたグローバルリーダーは、「叡智」、「志」、「実行力」を身に着けることが必要です。これらを下支えするものは、意志、つまり「自らを動かすための勇気」であると言えます。先の社会連携教育の定義に立ち返ってみますと、「社会との具体的な関わり」は「他者との関わり」に、「何を、如何に学ぶのかを考え直す」は「自分を問う」と、言い換えることもでき、他者との関わりの中で自分を問うことが、すなわち「自らを動かす勇気」なのではないかと考えています。グローバルリーダーを下支えする「自らを動かす勇気」を育むのが社会連携教育で、これが必要とされている二つ目の理由です。加えて、これまで私が担当者として学生と接してきた経験の中で、社会連携教育プログラムに携わった学生が自分の未来を積極的に考えはじめ、自分が中心となって役割を果たそうとするなど、行動が変わってくる事例をたくさん見ており、実感として社会連携教育の必要性を感じています。

それでは、現在、教育連携課で提供しているプログラムを簡単にご紹介します。一つは社会連携教育プログラムに参加する前段階のプログラムと位置づける「fumidasu(踏み出す)ワークショップ」。二つ目は校友連携、自治体連携、企業連携という3つの連携による「社会連携教育プログラム」です。「fumidasuワークショップ」は、グループワークでバックグラウンドの異なる学生同士の交流を図り、個と個の関係性を作るということを行っています。価値観の違う他者を受け入れ、理解することの導入体験として、社会に出て人と向き合う準備のためのステップ、そして外に出るよう背中を押し出すためのプログラムと位置づけています。3つの連携による「社会連携教育プログラム」。
校友との連携では、「先輩に会いに行こう!」と題して、地域で活躍する校友の元を訪問するプログラムを実施しています。今年の夏は、和歌山県田辺市で龍神村森林組合の組合長をしていらっしゃる方、島根県松江市でIT関係の会社を起業した方のところに学生を送りました。来春は宮城県仙台市と鹿児島県鹿児島市で伝統工芸に携わる校友に学生を送るべく、現在鋭意準備中です。
自治体との連携では、自治体が抱える地域課題の解決策を学生チームが提案する「地域連携ワークショップ」を実施しています。2009年から毎年、長野県木島平村という少子高齢化が進む日本の課題が凝縮された農山村地域で課題解決プログラムをやってきたのですが、それをモデルに、来年度は東北、北陸、東海、近畿、九州の5つの地域で、県や市町村と組んでプログラムを実施する予定です。
企業との連携については、「プロフェッショナルズ・ワークショップ」を実施しております。企業課題についてプロフェッショナルズ(企業人)と共に課題解決策の提案をするというもので、2007年度から大学職員によるプロジェクトチームが企業と連携を図り、ワークショップを運営しています。これまでの11年間で、延べ73の連携先、980人ほどの学生がこのプログラムに参加しております。

さて、ここまでは大学サイドの話でしたが、連携先にとって社会連携教育はどういった意義があるのでしょうか。課題解決提案型のプログラムでは、学生視点のアイディアや発想を企業活動や行政の施策に活かすことができます。企業は人材育成に関与することでCSR活動の取り組みとしても活用できます。また、地域にとっては学生が来ることによる活性化など、さまざまな目に見える効果がありますが、目に見えにくい効果として、連携先からいただいている声を紹介します。 
中小企業の経営者の方からは、「学生からの質問を通して、自分自身の仕事人生を振り返る研修だった。これまでの人生、これからの人生を深く考える充実した期間であった」というようなお声をいただきました。企業の課題解決プログラムに参加した社員の方からは「自分自身も見直すべきところをあらためて実感できた」「自分自身の成長となった」「頭のなかにあったものが明確になり、自分自身を再認識できた」というような声をいただいています。こうした声からもうかがえるように、育つのは学生だけでなく、異なった価値観、自分の所属しない世界の人との出会いによって、学生と連携先がともに育ちあう機会になっているのではないかと思っております。先ほど、職員の社会連携教育における役割は「場づくり」だと申し上げましたが、そのために私たちが大切にしていることを、最後にご紹介したいと思います。まず大学としては教育の機会を求めていますので、そういったことを理解いただける連携先、人(パートナー)を得ることです。もう一つは提携先のニーズを引き出すこと。いくら私たちが教育に協力してくださいと言っても、相手方がやりたいことと合致しないと連携は生まれません。そして、学生にも連携先の相手にも寄り添うこと。プログラムに関わる人がそれぞれ共に成長する機会とすること。勇気を育むための場づくりであるということを意識して進めています。 「人との出会いが、自分を動かす勇気になる」を合言葉に、今後も社会連携教育の可能性を広げて行きたいと考えています。
そして、この合言葉は、実は今日この場にも言えることではないかと。会場にお越しいただいた皆さまにとってこの出会いの場が、何か勇気を得て、次の原動力になる機会となればよいと思っております。

河村昌美氏
「一歩進んだ官民連携=『共創』による
新たな公共作り」

政策局共創推進室、ちょっと変わった名前ですよね。おそらく全国にこういう名前の部署は横浜市にしかないと思います。横浜市は人口373万人という日本最大の政令指定都市であります。裕福なように見えて非常に財政が厳しい自治体でして、高度経済成長期に一気に人口が増えたこともあって、少子高齢化、財政基盤の脆弱化、社会インフラの老朽化などが顕著で、私たちは10年前から危機感をもっています。それに加えて人口が373万人もいますから、その規模と多様性ゆえに行政課題も複雑化しています。行政の資源やノウハウが限られる中で市民ニーズに的確かつ持続的に対応していくためには、多様な民間の皆さまと対話をして、知恵と力を出し合い、共にイノベーションを創出することが不可欠だろうと考えておりました。
そこで10年前の2008年にプロジェクトチームを立ち上げました。そのチームのミッションは、今までの画一的なやり方ではなくて、民間と行政が対話をして新たな価値や解決策、イノベーションをしていき、共に創りあげていくことです。ただ公と民が連携しているだけでなく、共に創ることが目標でしたので「共創」と名づけました。行政に質が高いサービスが生まれ、企業に新たなビジネスチャンスが生まれ、横浜らしい地域活性化が推進されるような、WIN-WINの価値を目指してきました。

では、横浜市の組織の中で公民連携の動きをどう位置づけているかというと、2014年から2017年の横浜市中期4か年計画のテーマが「創造」となっています。総合計画のテーマが創造ですから、生活保護の仕事であろうが、窓口で住民票を発行する仕事であろうが、環境保護の仕事であろうが、すべてクリエイティブにやれということです。ただ公務員だけで考えてもクリエイティブにならないので、民間の皆さまと対話して、オール横浜の知恵や力で不可能を可能にしようと。こういう思想のもとに行政が動いていると理解していただければと思います。私がいる共創推進室というのは、この動きを引っ張る部署(プロジェクトチーム)ということで10年前に作りまして、公と民の連携制度や手法を一括して所管しています。一括して所管することによってノウハウを蓄積し、多部署に対してコンサルティングをするという部署になっています。また市役所は組織が大きいですから、民間の皆さまから横浜市と連携したいという要望をもらったときに窓口がないと動きません。そこで私たちが窓口となりハブの役割をして、民間の皆さまと横浜市のいろいろな部署の方の橋渡しをしています。具体的にはPFI(建物を建てる・運営するなどのハード系公民連携)や、SIB(金融の仕組みを利用したソフト系公民連携)、公有資産の有効活用、指定管理者制度、ネーミングライツ、公民対話の場の創出などを行っています。
2008年6月には共創を進めるための仕組みとして、共創フロントを設置しました。これはインターネットに開いた窓口で、ホテルのフロントで行うコンシェルジュサービスのように、公民連携のためのフロントの役割をしています。役所は公共性、公平性を非常に気にしますから、民間からの提案の機会を公平に担保するため、24時間365日インターネットで公募をしているスタイルをとりました。こういう仕組みを作っておいて公平性をクリアにしないと、どの部署も躊躇してしまうのでなかなかうまくいかないのが実状です。
同時に、行政サイドからも民間にお願いしたいことをインターネット上で公募して提案をもらいます。共創フロントで相談や提案を受けたあとは、その事業の実現化に向けて、私たち共創推進室が各部署の間に入ってコーディネートをします。共創フロントはそういった双方向の窓口の仕組みになっています。2008年からこの約10年間で提案を受けた件数は700件ほど、そして提案を何かしら実現させているのが300件ほどとなっています。

では、具体的な事例をご紹介したいと思います。佐川急便との連携の事例では、災害時の物資保管や輸送協力などを定めた協定を結んでいます。地図の会社ゼンリンとは災害対応用の電子住宅地図を共同開発し、災害発生時における下水道の早期復旧を図るための合同地図上訓練を行いました。横浜市はフィールドとデータをゼンリンに提供し、ゼンリンは商品開発をする。横浜市と共同開発したというのはネームバリューになりますので、どちらにも非常にメリットがあるわけです。この取り組みは国土交通大臣賞イノベーション賞を受賞しました。
他にも、横浜ブランド農産物の販路拡大や市内農業のPRのために、山崎製パンのランチパックとタイアップして商品を共同開発したり、地元の印刷会社と連携し、市内企業のスポンサーをつけて子供向けの防災絵本も作りました。絵本は横浜市が内容監修、配布先調整をすることで、スポンサーからの資金協賛が得やすくなるのです。このように、関係者間で少しずつリソースを分担、負担することで、携わったみんなが WIN-WINになる連携をコーディネートするのが我々の仕事です。また、最近Yahoo!ニュースでも取り上げられましたが、NTTドコモがもつAI技術と横浜市がもつゴミ分別の検索データを使って、ゴミの出し方を対話形式で案内するAIサービスを開発し、実証実験を行っています。これは元々NTTドコモの方から、AI技術を活用し、市と連携して何かできないかと相談をいただいたことから始まりました。いろいろな部署にヒアリングをしたところ、横浜市のごみ分別に活用できるのではないかという話があり、横浜市がもつゴミ分別の検索データをAIに勉強させて、AIシステムを作ってみることになりました。そうしますと、半年ぐらいの実証実験でAIがかなりの確率で市民のニーズに答えて対話をするシステムになりました。これは恐らく実装することになると思います。横浜市はこのシステムを開発費ゼロで作ることができ、NTTドコモは横浜市のフィールドとデータを使って、サービス開発とブラッシュアップを図ることができるので双方に非常にメリットがある取組となりました。
テーマ型の共創フロントの事例としては、行政側が「消防局のブランディングと市民の防災意識の啓発をしたい」と募集したところ、人気ブランドが「じゃあ、Tシャツ一緒に作りましょう」とか、崎陽軒が「一緒に食糧備蓄に資するカレーを作りましょう」と提案してくれて、共創が実現しました。

我々が特に注目しているのはクールジャパンコンテンツとの連携です。スタジオジブリ映画「コクリコ坂から」とは観光振興のための連携をしました。横浜が舞台の映画でしたので、ジブリさんと話し合って、横浜の町全体で盛り上げを一緒にやろうという感じで、そのための許認可や調整などを共創推進室でやりました。
ポケモンとのコラボレーションでは、みなとみらいや山下公園を延べ1000匹のピカチュウでジャックする「ピカチュウ大量発生チュウ!」というイベントを、お盆の時期に1週間やりました。こういったイベントは警察や海上保安庁、道路や公園など、さまざまな部署に許可取りをする必要がありますが、それらを横浜市がコーディネートすることで、民間だけではできないようなイベントを実現することができました。横浜市にも経済効果があり、2012年から3年間の実績ですが、毎年1週間程度の開催で合計517万人の来街者がありました。
では、最後に我々が共創を進めるうえで非常に重要だと考える「三つの視点+α」について話しをします。連携事業で最初にチェックするのは、目的とプレイヤーとリソース、そして手続きがしっかり揃うかということです。まず目的が市の施策や公共性、公益性、市民理解の観点から合意できるものであること、プレイヤーとなる人的資源を確保できること、物的・知的資源であるリソースが揃う見込みがあること。そして適法、適正な手続きにより、連携に関わる各主体間で目的とプレイヤーとリソースが共有、分担されて充足すること。この方程式を頭に入れて連携を進めることが大事だと考えています。
また、我々がタイアップをするときに民間の皆さまによくお話しするのは、行政とのタイアップにおいては公平性、公共性の縛り、入札のドグマ、予算、支出の硬直性といった行政本来の役割に起因する事情があるということです。このことを民間サイドにも理解していただき、連携を進めています。

植田裕司氏
「Yahoo! JAPAN流オープンイノベーションの仕掛け方」

私どもYahoo! JAPANは今年で創業21年、従業員数は約6,000人で、半分以上はクリエイターで構成されています。平均年齢は35.8歳。営業利益は約2,000億円、サービス利用状況は9,061万DUB、つまり一日に9,600万のブラウザーからアクセスされているという数字です。私は2007年に新卒でエンジニアとして入社しました。そこから5年ほどテレビ向けのサービス開発やディレクションを行なっており、2012年からはアプリの開発を行っていましたが、新オフィス内にコワーキングスペース「LODGE(ロッジ)」ができるということで、その企画、立案からサービスイン、運営までをやってきました。
私が新卒で入社した当時、Yahoo! JAPANはパソコンで圧倒的な数字を取っていまして、ガラケーもようやくサービスの軌道に乗るというタイミングでした。次はテレビなんじゃないかと言われていて、私もインターネットの接続ができるテレビサービスを展開するエンジニアをやっておりました。しかし、2008年に日本でiPhoneが発売されて、日本のリビングでのインターネットがiPhoneやiPad、スマートフォンに置き換えられてしまいましたので、2012年に、私の携わっていたテレビサービスは残念ながらクローズすることになりました。
私が所属していた部署では「10%ルール」といって自分の余力を使ってサービスを作っていいよという制度がありました。テレビサービスがクローズする間際、私もちょうどアプリのエンジニアに転向しつつあったので、自分で開発したアプリを作って持っていったら、「やってもいいよ、サービスマネージャーもやらせてやるよ」という感じで、5年でサービスマネージャーにさせてもらいました。このアプリは残念ながらクローズすることになり、それ以降はYahoo! JAPANのアプリ作成に従事することになりました。2012年の頃はiOSとAndroidの両方合わせて、うん百万DUBだったんですけど、この5年間で文字通り1→10の成長を遂げ、弊社の事業としてもとても重要なアプリに成長しました。そんな中で私は直訴してその業務を後任に任せ、LODGEという新しいワークスペースの設立に力を入れることになりました。

前談はここまでにしまして、Yahoo! JAPANのオープンイノベーションの捉え方と仕掛け方をお話しします。Yahoo! JAPANは情報技術で人々の生活と社会をアップデートするという「UPDATE JAPAN」をビジョンに掲げています。こういった仰々しいビジョンを達成させ、数年後も数十年後も社会から求められ続ける会社であるために、私たちは「!(びっくり)なサービス」を生み出し続けないといけません。びっくりなサービスがどういうものかといいますと、出た瞬間はすごくびっくりするんだけど、それが未来の当たり前になるような、人の生活を変えるようなサービスです。こういったサービスを生み出すために私たちが大切にしているのが「情報の交差点」です。情報の交差点とは、自分の勝ちパターンと相手の勝ちパターンが交差したところに新たな勝ちパターンが生まれるという考え方です。Yahoo! JAPAN社員は凡人の集まりです。そんな私たち凡人が何か新しい発想を得て、思い立って行動する、それらを実現するためには、普段話さない人と話しまくる、普段体験しないことを体験しまくる、そういった気づきを与える場所が必要かなと思っております。

Yahoo! JAPANでは、10年前からHack Dayといって、クリエイターが24時間以内にプロトタイプを作り上げる開発イベントを行っています。当初は社員のみが参加する社内イベントだったのですが、2012年からは外部の方も参加できるイベントになりました。それでも最初は社員が7割という具合だったのですが、2017年12月に行ったHack Dayでは、社員の割合は少なく、多くの社外の人が参加してくれる日本最大級のクリエイターフェスになりました。また、Hack Uという学生が対象の開発イベントも行っていまして、これは、受動的になりがちな学生たちが能動的に作る人に変わるきっかけになったらいいなという思いを込めて運営しています。

LODGEは東京のど真ん中、永田町の一等地にあるYahoo! JAPANのオフィスに2016年11月1日にオープンしたスペースです。朝の9時から夜の9時まで、土日祝日もオープンしていて、誰でも無料で利用できます。ほぼ毎日イベントを実施していて、立ち見は無料となっています。キッチンがあったり、3Dプリンターやレーザーカッターがあったり、社員食堂やカフェも併設されていて、これも皆さんに使っていただけます。他にもTSUTAYAとコラボして本を選書していただいたり、ソニーのアロマスティックというプロダクトの実証実験をしたりと、細かい試みをいくつもやっています。また、LODGEは来た人同士のコミュニケーションが活性化するようなスペースを目指しておりまして、人と人をアナログに繋げるコミュニケーターという役割を担う者もいます。
オープンして13か月半ほど経ちましたが、累計利用者が10万7千人、毎日250~400人ぐらいの社外の方に来ていただいています。イベントも今までに650件ほどやっております。申し込みはその倍以上あるのですが、社員の気づきになるようなものかどうかなどをジャッジしてイベントを行っております。
LODGEから生まれたコラボレーションもいくつかあります。まず社外×社外の事例ですが、今年の冬にDMM.comという会社がお洒落なオフィスを六本木に構えたのですが、その引っ越しの間際にDMM.comの方から「うちの社員が引っ越しの端境期でいるところがなくなったから、ちょっとLODGEを使わせてくれない?」と連絡があり、私も二つ返事でOKしました。そうしたらDMM.Africaのアフリカ人の社員さんが十数名いらっしゃって、LODGEが国際色豊かな場所になった時期がありました。そして、タイガーモブという会社はLODGEがオープンしてすぐ、無料で誰でも使えるというのを聞きつけて、オフィスを引き払ってこのLODGEにいらっしゃってたんですよね(笑)。どちらも常連でしたのでコミュニケーターが間に入って両者を繋げたところ意気投合しまして、じゃあ一緒に事業を始めましょうということで、2017年の6月、7月頃にはルワンダで共同事業を開始されたそうです。

Yahoo! JAPAN社員と社外のコラボレーション事例もございます。LODGEでたまたま土日に勉強していたうちの社員と、Unityという開発プラットフォームの本を書かれている方がたまたま繋がって、隔週で勉強会が開催されるようになりました。そこでうちの社員がスキルを身につけて、自身のデータビジュアライズ事業で作品をリリースすることになりました。私たちはこういった事例を増やしたくて、このLODGEを運営しております。6,000人の社員が外の力をお借りして、プラス100万円の価値を創造し、それが社員全体に広がれば60億円の利益をアドオンできます。困った時は外の力を徹底的に借りにいく、そういったオープンイノベーションの働き方を社員にインストールすることが、オフィスの中にLODGEを置いている理由です。
他にも連携事業をいくつか紹介させていただきます。筑波大学准教授の落合陽一氏と彼の研究室の学生さんと協力して、彼の作品を展示する展覧会をやり、1ヶ月ほど無料公開しました。Yahoo! JAPANはミドル層に支持されるサービスが多く、若者との接点がなかなかないのですが、この展示会には来場者の半分以上が20代以下で、さらにYahoo! JAPANに対して良い印象の変化があったとおっしゃっていただきました。2018年1月15日からは京都工芸繊維大学の仲先生と彼が率いる団体とのコラボレーションで、人と人を繋げる仕組みや環境センサーを用いたデータビジュアライズ、場にマッチした家具造作などの展示を行います。行政とのコラボレーションでは、復興庁の「共創で進む東北プロジェクト」の一環でLODGEを活用していただいた例もあります。

ここまでの話をまとめますと、私たちのビジョンである「UPDATE JAPAN」に必要なのは、情報の交差点という概念で、相手の勝ちパターンと自分の勝ちパターンを交差させて、新たな発想を築けたらと思っています。それを色濃く反映しているのが、LODGEやHack Day、Hack Uです。 ここからは自分事に置き換えてほしいのですが、皆さんそれぞれ自分が成し遂げたい姿や、達成しなくてはならないミッションがあると思います。迷いながら、時には道を誤りながら、ヨチヨチ山の上を目指して進んでいき、スキルアップしたり、上司や同僚に相談するなどして最適化されていって、最短でゴールを目指す山の登り方を身につけていくと思います。しかし、人の力を臆面もなく借りて働く方法を身につけると、例えば「反対側に整備した道があるよ」と教えてもらえるかもしれませんし、「うちのヘリコプターを出して、頂上に連れていってあげるよ」とヘルプをもらえるかもしれません。もしかしたら、「そもそも、そんな山を登っているの時代遅れだよ」と、気づかせてもらえるかもしれません。これがオープンイノベーションの働き方の醍醐味であって、自分自身や自分の会社が井の中の蛙にならない手段なのだと思っています。 オープンイノベーションって本当に得なんですよね。楽できますし、1つの成果をみんなで分け合うことができるので、みんなが幸せです。社会にオープンイノベーションマインドを広げるためには、実体験、成功体験が必要だと思います。私たちはLODGEやHack Dayの活動を通して、自分の会社にオープンイノベーションマインドをインストールし、さらに社会に対してもマインドをインストールしたいと思っていて、オープンイノベーションを体感する場所としてLODGEを設けているのです。

パネルディスカッション

パネリスト

早稲田大学 教務部教育連携課
児玉千加代氏

横浜市政策局共創推進室
共創推進課担当係長
河村昌美氏

ヤフー株式会社コワーク推進部長
オープンイノベーションユニットLODGEサービスマネージャー
植田裕司氏

名城大学 農学部教授
加藤雅士氏

司会・進行:名城大学 人間学部教授
水尾衣里氏

水尾:ここからは水尾衣里が進行させていただきます。私は人間学部におりますが、専門は建築学、都市計画学でして、さまざまな自治体でのまちづくりなどをお手伝いしていまして、いろいろな地域でフィールドワークの実習を学生と一緒にやっています。さて、まず冒頭では社会連携の実績を多く積んでいます名城大学農学部の加藤雅士教授を紹介させていただきたいと思います。
加藤:農学部の加藤と申します。私は知多市に生まれ、地元の高校から名古屋大学の農学部に進学しました。興味を持ったのは微生物で、微生物の道を極めたいと思い、東京大学の応用微生物学研究所で博士号を取り、名古屋に戻ってきて名古屋大学で教員生活を送った後に、2010年より名城大学で教育研究に携わっております。
この地域は発酵醸造の盛んな地域でして、麹菌ですとか酵母の研究をし始めたときに、産業との関わりが非常に大きくなってまいりまして、名城大学に赴任してからは、花の酵母を利用してオリジナルのお酒を作るなど、産学官の連携を行ってきました。その過程には学生の関与があって、やはり連携事業が教育に結びついていると思っております。
地域の連携というのも非常に大事で、長野県の有名な赤かぶを使って飲む酢を作ったり、千葉県八千代市の農業団体とのコラボレーションで蕎麦の花から酵母をとり、蕎麦麹から焼酎も作りました。醗酵文化を海外発信するための文化交流や日本酒を国外に普及するための提案を社会に向けてする取り組みなんかもしております。

水尾:ありがとうございました。それでは、まず組織体制について伺います。事例報告を聞きますと、皆さま足を相当動かしていらっしゃることが印象的だったのですが、どれくらいの人員でプロジェクトを動かしているのでしょうか。
児玉:教育連携課は管理職の課長含め、計4名ですが、社会連携教育プログラムは、実質ほぼ2名で回しています。人手は足らないのですが、他部署職員の協力により、事業を広げる取り組みをしています。
河村:共創推進室は20名前後でやっています。足りないといえば足りないのですが、ポイントは2つありまして、一つは案件ごとにチームを作り、ラインをクロスさせるということです。やる気がある人がそれぞれのプロジェクトをやった方がいいですし、ラインごとに繁忙期も異なるので、フレキシブルにやることで20名でも対応できるようにしています。もう一つは庁内研修でエージェントを増やすということです。連携事業は8割方が役所の中の調整ごとですので、カウンターパートの部署が連携について理解を深めてくれればコストは下がります。ですから、連携事業のマインドや技術を伝えるために庁内で頻繁に研修を行っています。

水尾:20名前後とのことですが、異動はあまりないのでしょうか。
河村:共創推進室は長い人が多いですね。長くいることでネットワークができますし、マスコミなど特殊な業界にも顔がきくというようなメリットもあります。デメリットとしては公平性を保ち、コンプライアンスの問題がおきないようにしなければならないこと。そこは他の部署より厳しくみていく必要があると思います。
植田:LODGEを専任でやっているのは私含めて計4名です。組織を構成するうえで気持ちのいいコミュニケーションの密度には限界がありますのであまり数を増やしたくないのと、自分に足りないことを補ってくれる、いろいろなタイプの人を配置しています。また、Yahoo! JAPANには6,000人の社員というリソースがあり、彼らに簡単にお願いを言うことができるツールがありますので、ある意味、私の組織は6,000人という大きなものであると思っています。

水尾:それでは次は、これからのより良い連携についてです。皆さんはどうお考えでしょうか。
河村:市民と企業、行政の「三方良し」を意識することです。それができるような仕組みを私たちはゼロから作ってきました。あとは、目的、プレイヤー、リソースという3つの三角形と、手続き上の適正さが保たれていることです。4つの中のどれかが欠けていたり、極端にバランスを欠いているのは良くありません。
植田:私たちの事業課題と相手方の事業課題がきれいにマッチすることはほぼないと思っていますので、両者においての大義やビジョンを握って、お互いに腹落ちした関係を作ることです。また、LODGEでは人的リソースを求めていろいろなコミュニケーションやコラボレーションが発生しますので、それを社員の本業のメリットに繋げていく役割を私たちがやらないといけないと思っています。LODGEは外部に向けてPRをしてきて利用者が増えてきましたので、次は社内向けにブランディングをしていくのも大事かなと思っております。
児玉:やはりWIN-WINの関係というのはまず大事だと思います。ただ、そうはいってもそれぞれ存在目的が違いますので、多少ずれることもあるでしょう。そこをうまくすり合わせていくことと、行政、企業、大学と、それぞれが相手のことを理解したうえで課題を乗り越えていくことが、お互いのより良い利益に繋がると思います。あとは、携わる人たちが楽しむことですね。私たちは学生が成長する姿を目にすることがモチベーションですので、そのために連携の輪を作っていきたいと思っています。
水尾:私もフィールドワークをやっていますので、学生が喜ぶ姿が嬉しいというのは良く分かりますし、地域の方が学生を歓迎してくださると苦労が吹き飛びます。では加藤先生、私たち名城大学にとってより良い連携とはなんでしょうか。
加藤:これまで社会連携の動きは教員の力量にかかっていた部分がありますね。社会連携センターができましたので、これからは相談窓口があって、外部からの情報が集まり、連携事業をワンストップでできるようになるというのは、非常に良いことだと思います。

水尾:さて、連携の必要性は良く分かってきましたが、さらに今後、未来に向けての連携の意義はどのようなところにあるでしょうか。
植田:Yahoo! JAPANは事業範囲が広い方だとは思いますが、それでもカバーしきれていない領域がありますので、それに気づかせてくれる方々とよりコミュニケーションの頻度を上げていきたいということに尽きます。
児玉:早稲田大学は全国から学生が集まってきて、お互いの価値観をぶつけて切磋琢磨し、学生が育っていくという環境がありましたけれども、最近では首都圏からの学生が7割近くという状況になっていて、地方から来る学生が減っています。私たちとしては地域に貢献する人材も育てていきたいというのがありますので、全国各地にいる校友や、地域の協力をいただきながら、地域に資する人材を育成するような連携が図れたらいいなと思っております。
加藤:やはり人と人の繋がりが大事ですから、最初に信頼関係を築くことは大事だと思います。すべてを受け入れるというのではなく、我々の研究の成果を生かす出口として、研究を利用していただいたり、逆に相手方からもってきていただいた課題で新しいテーマをもらったりすることもあります。コミュニケーションが大事だと思いますね。

河村:横浜市では4月にオープンイノベーション推進本部というのを作りまして、官こそオープンイノベーションが必要だという発想をもっています。なぜかといえば、社会が複雑化していて、私たちの生活はこの10年で随分変わりましたよね。では地方自治の法律とか条例はどうかというと、ほとんど変わっていないと思うんですよ。だからこそ、これからはもっと外部の方たちと話しをして世の中の動きを知って、うちの職員は何万人もいますから、皆さんが当たり前のように、連携を図っていくようになればいいなと思っています。
水尾:社会連携という言葉は、昨今皆さん言うようになってきましたが、民間企業も行政も大学も、社会連携という言葉はなかったにしろ、そういったことはやってきているわけですよね。いったいこれまでの連携の仕方と、今声高に言われている連携というのは何が違うのでしょうか。
河村:行政では70年代80年代から、市民共闘のようなものは盛んだったと思います。ただこれは行政側からの視点で、そのときは企業やNPO、社会起業家などとの連携はルールがなく、やりたくてもできなかったのではないでしょうか。ですが今はもう、お金もノウハウも足りないですので、おのずと民間との連携が必要だという空気があって、我々のようにルールがない中で前例を作る動きがあり、それを視察した自治体にも連携の動きが増えているのだと思います。

水尾:先ほどお話いただいた中で、民間企業との事例を挙げていらっしゃいましたが、他の行政とも繋がったという事例はあるのでしょうか。
河村:本当はやりたいんですけど、法律の規定が何もなく、意思決定システムや組織の形も全然違うので難しいんですよね。行政と行政の間に広告代理店とか何かコンテンツを挟んで連携するというような可能性はあると思いますが、そこはこれからの課題かもしれません。
植田:まずテクノロジーの進化がありましたね。私が10年前に入社した時はオフィスに固定席があって固定電話があって、会社に行かないと仕事ができない環境でしたが、5~6年ほど前から全員にノートパソコンが支給されて、リモートオフィスとかリモートワークということもできるようになりました。スマートフォンが普及し、SNSで個人が繋がる時代にもなりました。最近では名刺交換をすると、複数の肩書きで複数の名刺を持っている方も本当に増えました。私はYahoo! JAPANいう看板を背負っていますと、大体どこに行ってもエンジニアの方に会ってもらうことができるのですが、なんかダサいなあと。今後は個人のスキルがフォーカスされるような時代になってくると思いますので、これまでは会社対会社で大きく連携していたのが、だんだん個人レベルに下がってきて、やりとりがしやすくなってくると思います。
水尾:今、新入社員で入ってくるのはデジタルネイティブ世代が多いと思いますが、違いを感じることはありますでしょうか。
植田:10年で根本が変わってきているので、それを理解して私たちの方が変わっていかなくてはいけないと思っています。私たちの常識以上にスピード勝負、成果勝負で、優秀な人も多いと思います。

児玉:先ほど植田さんがおっしゃったように、人と人が繋がりやすくなったということが大きいのではないでしょうか。また大学の立場からいうと、これまでは教育や研究で社会貢献してきたのですが、もっとダイレクトな社会貢献が求められるようになって、大学側も社会と繋がった方がより可能性が広がるということに気づいて、そういった動きが活発になっているのだと思います。
加藤:昨今大学で社会連携の重要性が増している要因は、人口の低下ではないかと思います。今までのような画一的な教育で学生を社会に輩出していくだけでは足らなくて、社会のニーズを掴んで社会で役立つ人材を育てていく必要がある。その中で、課題解決型のアクティブラーニングが注目されてきて、その材料が社会連携ではないかと思います。
水尾:加藤先生は社会連携によるプロダクトをお作りだと思いますが、商品の売り上げはどうなっているのでしょうか。
加藤:我々は一銭もいただかない立場でやっています。その分は提携先の企業に儲けていただきたいですし、学生が学びの場を得て伸びていき、社会に出ていくという人材輩出の側面が、何百万もの売上に匹敵するほどの価値ではないかと思います。

水尾:ありがとうございます。それでは最後に今後こんなコラボレーションをやってみたい、こういう連携をやってみたいという、皆さんの希望を発表していただこうと思います。
加藤:短いフレーズですが「学生×発酵×世界」。発酵をキーワードとして活動をしてきましたので、これからも学生と一緒に発酵をクールジャパンの代表として、世界に知らしめていきたいと思います。農学部だけでなく、文系学部とも協力するなど、総合大学の良さも生かしていきたいですね。
児玉:「国境を越える」です。今は地方に目を向けたドメスティックな連携が多く、それもとても良いことだと思っているのですが、国境の垣根を越えて連携ができたら、もっとフィールドを広げてつながることで、平和な世界を生み出していけると思います。
植田:「課長補佐会」と書きました(笑)。私は今一応部長ですけれども、ほかの会社の部長と比べると全然偉くありません。ですが世の中を変えるのって、偉くなりすぎていない私のような世代じゃないかと思うんです。年次が下すぎるとまだ課題の捉え方も実行力も備わっていないし、上にいくとプレッシャーやしがらみがあって動けないということもあると思うので、ちょうどいいポジションでなおかつ実行力があって、がむしゃらにやれる人たちが集まったら、すごい原動力があると思います。そういう人たちが情報交換をして、自分たちが積んでいるエンジンをブーストしたら、社会は一気に良くなると思っています。
河村:「さまざまな民間の皆さまと、公共空間(公園など)をオシャレにしたい!!」です。日本のさまざまな矛盾は公園によく表れていて、外国の公園に行くとコーヒーショップがあってWi-Fiが飛んでいてということがあるんですが、日本の公園にはさまざまな制約があって、コーヒーショップの一つもなかなかない。それをもっといろいろな人が集まって、人がクロスする場所にしたいんです。そのために民間の皆さんの力を借りて動いていくと、世の中がもっと良くなるのではないかと考えています。
水尾:皆さま本日はありがとうございました。スマートフォン一つで世界と繋がれる時代ではありますが、同じ空間で同じ時間を共有することは、一番熱くて太い情報を得られる機会なのだと感じました。このシンポジウムが、社会連携センターの新たなスタートにもなったのではないかと思います。皆さまにも社会連携センターの活動を今後共に応援していただきたいというお願いを込めまして、本日のシンポジウムを締めたいと思います。