都市情報学部 都市情報学科 海道清信教授

大学を飛び出し、まちに出よう
教室にいるだけでは何も生まれない

各地域にある都市問題を、学術的アプローチによって解決するというミッションを掲げる都市情報学部。これまで東海地域のいくつかの地方都市に出向き、地域連携によるまちづくりに取り組んできた。高齢化や人口減少といった社会問題に直面し、様々な課題を抱える地域が多くある中で、課題解決のためのプロジェクトを立ち上げ、学生とともに奮闘する海道清信教授に、今までの取り組みと今後の展望について話を聞いた。

地方都市の問題を地域調査で探る

私は大学に来る前は地域振興整備公団で、地方都市のニュータウン開発に20 年ほど携わってきましたが、元々地方都市に関心があり、大学では地域に根ざした研究をしたいと考えていました。当時、都市情報学部は岐阜県可児市にキャンパスがあり、可児市やその隣の美濃加茂市のまちづくりについて、学生と一緒に取り組んできました。
可児市には住宅団地がたくさんありますが、団地が抱えている問題は何か、住民調査などから始め、団地の高齢化や空き家問題などが浮き彫りになりました。また、美濃加茂市では、駅前商店街のシャッターが下りて元気がなくなっている一方で、ブラジル人など外国の方が人口の1 割に達しており、多文化共生と商店街振興を結びつけることで、課題解決にならないかと取り組みを始めました。

美濃加茂市でまちなかゼミを実施

美濃加茂市では、駅前商店街の中にある「星の街ひろば」という空き店舗活用型のスペースをゼミの拠点にして、住民等へのアンケートや建物調査を行いました。日本語、英語、ポルトガル語、スペイン語など、人種の多様性に合わせて様々な言語でアンケートを実施し、調査結果を学生たちがワークショップ形式で発表する場も設けました。
ただ、ちょうどその頃、不況のあおりで工場が外国人を解雇する動きがあり、地元でも大きな問題となっていました。美濃加茂市に住むブラジル人の方々に話を聞いたりもしましたが、地域に雇用や差別の問題がある中で、いい雰囲気で話はできませんでした。多文化共生といっても簡単にはいきません。
駅前商店街を盛り上げる動きも、なかなか変化が生まれず、2008 年度からスタートした美濃加茂市のまちなかゼミは、3 年ほどで一旦中断ということになりました。

城下町犬山でプロジェクトを開始

美濃加茂市での活動は成功というわけではありませんでしたが、引き続き地域と結びついて何かやりたいというのはありまして、候補に上がったのが犬山市です。犬山市も美濃加茂市と同じようにまちの商店街があり、観光地として整備も進んでました。最初は何をしていいのか分からなかったので、学生とともに現地調査に行きました。地元の方と交流する中で、歴史あるまちの銭湯の存続活動をしたり、建築学科の柳沢先生と連携して「犬山くらす会」という勉強会を始めるなど、精力的に活動を続けました。そして、犬山城下町の南部地区にある「防災共同ビル」という、昭和40 年代に建てられ、かつてはまちの賑わいをつくっていた伝統ある建物を、まちづくりの貴重な資源として活用しようと、プロジェクトをスタートさせることになりました。

建築学科と連携した犬山での取り組み

柳沢先生は建築の側面から防災共同ビルのリノベーションを、そして私たちは、まちづくりの観点からビルの前面通りをストリートとしてリデザインし、安全に楽しく歩ける公共空間にすることなどを提案に掲げ、犬山市役所と防災共同ビル内で2015 年に展示会を行いました。富山県の氷見市に、犬山市と同じような防災ビルがあるのですが、氷見市の担当の方にも足を運んでもらい、展示会後に交流会も開催しました。
また、防災ビルを拠点に、犬山市と長野県木祖村の上下流交流というプロジェクトもスタートしました。これは、木曽川の上流にある木祖村と中流に位置する犬山市の交流活動で、木祖村の木を使って防災ビルのリノベーションを進められないかなど、地元関係者や住民の方と話し合いを進めています。

地域に足を運んだ先に学びがある

様々なプロジェクトを行っていますが、一貫して大切にしているのは、地域と一緒にやっていくスタイルです。どんな課題があって、どうしたら解決できるのかというのは、数学のように答えがあるものではありません。地域によって異なりますし、同じ地域であっても時間軸によって変化します。地域に足を運び、地元の方と交流する中で、学生自身が課題を発見して、自分なりにどう取り組めばいいのか、少しずつ考えてもらいたいと思います。
今年度、都市情報学部はナゴヤドーム前キャンパスに移動しました。その近くにある大曽根商店街について昨年から調査をしていますが、学生のいい学びの場になるのではないかと思っています。また、次年度は他の学部とも連携したプロジェクトもスタートしたいと考えています。違った視点を持つ学生とまちを巡ることで、学生同士が刺激し合える機会になればと思っています。