プロトタイピング

「荒削りでもいい
手を動かせば伝わる、見えてくる」
アイデアを爆速プロトタイピングでカタチにする

2023.3.31

天白キャンパスの敷地内で新しいあそびのアイデアを構想し、爆速でプロトタイプをつくってあそびを体験するというユニークなワークショップを3日間に渡って開催しました。参加した学生たちはさまざまなワークを行いながら、思考を深め、チームを作り、あそびを創造していきました。

クリエイティブ・コンフィデンスを
育むワークショップ

新しいものを創り、社会をよりよく変えていく人材に必要だといわれているクリエイティブ・コンフィデンス。つまり、自分の創造力に自信をもって臆することなく発揮する力です。そんな力を育む教育の一環としてワークショップを開催しました。

クリエイティブ・コンフィデンスを育むのに重要なポイントは2つあります。一つはバイアスを取っ払い、根源的なやりたいことを素直に表現できるようにすること。先入観や思い込みが邪魔をして、自分の中から湧き出た情熱にふたをしてしまうと、創造力を発揮することはできません。

もう一つは環境を整えること。表現したいものがあっても、臆せず表現できる環境がなければ、その芽が摘まれてしまうことは往々にして起こります。トレーニングとして、学生がどんなことでも挑戦できる心理的安全性のある場を整える必要があります。

チームごとにアイデアを具現化し、あそびを体験

初日はアイデアを見出すための準備運動。道という概念がどのように生まれて私たちの生活のそばにあるのかを学び、道を新しい観点から見つめるフィールドワーク、あそびのアイデアをオンラインホワイトボードに書いてシェアするグループワークなどを行いました。2日目は「あそびと体験」をキーワードに、あそびのコンセプトをチームでつくり、コンセプトを可視化して共有するためのモックアップ(模型)を制作しました。

そして最終日は、2日目に作ったモックアップをスケールアップしたプロトタイプを制作しました。学生は2つのチームに分かれ、1つのチームは天白キャンパスにひっそりと立つ孔子像に着目し、孔子像とプリクラのように写真を撮れるあそびを制作。もう一方のチームは、プロトタイプ制作に使う塩ビ管が音を通すことに着目し、音をつないであそべる装置を制作。それぞれのチームが新しいあそびをキャンパスに誕生させ、あそびの体験会をして盛り上がりました。

プロトタイプをつくると見えてくるものがある

音をつなぐあそびをつくり出したのは、理工学部建築学科1年の伊藤乃彩さんのチームです。

「チーム内で面白い体験をシェアしたときに、『音』とか『音楽』という要素が出てきました。それをあそびとつなげたいと思って、塩ビ管に音楽を流してみたところからあそびのイメージが具体的になっていきました。私たちのチームは素材特性に着目しましたが、もう一つのチームは場所に着目していて、その視点の違いが面白かったです。素材と場所、どちらの特性も生かす視点をもてば、よりよいアイデアになるという発見がありました」(伊藤さん)

ワークショップのテーマであるプロトタイピングについては、手を動かしてみてその重要性に気づいたとか。

「あそびのアイデアが頭の中に浮かんだときに、アイデアをチームのメンバーとシェアすることが難しかったんです。言葉で説明をしても言葉の意味の捉え方はさまざまで、あまりうまく伝えられませんでした。ですが、モックアップをつくって頭の中のイメージを目に見えるカタチにすることで共通理解を深めることができ、自分の中でもあそびのコンセプトが鮮明になっていきました」(伊藤さん)

インプットとアウトプットを積み重ねていきたい

ワークショップに参加したことで、いろいろな刺激を受けたという伊藤さん。この経験をこれからの学生生活に生かしていきたいと話します。

「プロトタイプが完成してあそびの装置に音を流したときに、音が伝わる様子や音が混ざり合う様子をみんなが楽しみながらあそんでくれているのを見て、自分の頭の中でイメージしたあそびに近いものをアウトプットできて、面白さをみんなと共有できたと感じました。

これからの課題を挙げるなら、自分のやりたいことのコンセプトにもっと深みをもたせたいです。そのためには、普段の学習や本を読むことなど、インプットの量を増やして、物事の意味や背景への理解を深めることが必要です。また絵を描いたり、今日のようなワークショップに参加したりするなどして、自分のアウトプットに対する反応をもらう経験をもっと重ねていきたいです」(伊藤さん)

バイアスを外し、湧き出る創造力に自信をもとう

ワークショップのナビゲーターを務めたのは、ものづくりをする人たちが集まるクリエイティブコミュニティ「FabCafe Nagoya」の斎藤さんと、クリエイティブスタジオ「Metalium llc.」の浅井さんです。

「アントレプレナーシップは、フレームを学んで身につくようなものではなく、『やりたい』『面白そう』といった情熱から生まれる爆発力のようなものではないでしょうか。情熱をもって踏み出すには、自分の創造力に自信をもつことが必要です。クリエイティブ・コンフィデンスをもっている人は、アイデアへの意見や批判を恐れることはありません。批判を前向きに受け止め、柔軟さと賢さをもって対処できるようになります。

ただし、鶏が先か、卵が先かという言葉の通り、自信を身につける前に大きな壁が立ちはだかると乗り越えるのは困難です。だから、小さな場所から経験を重ねていってほしい。このワークショップが名城生の小さな成功体験の場となっていれば嬉しいです」
(FabCafe Nagoya コミュニティマネージャー斎藤健太郎さん)

「もう一つテーマだったのはバイアスの破壊です。例えば『道とはこういうもの』という先入観、『これはつくれないだろう』という思い込み、『こんな発言は突拍子もないかもしれない』という恐れ。そういったバイアスを取っ払い、本当にやりたいことを表現する。それができたときに新しいものが生まれます。この3日間は、みんながバイアスを外し、自分のやりたいことを表現してプロトタイピングまで成し遂げました。やり切った人はきっと何かをもち帰ってくれたと思います」
(Metalium llc.代表 コンセプトデザイナー 浅井睦さん)

新しい道の使い方を構想・実装するプロトタイピングワークショップ
天白キャンパスをPUBLIC HACKせよ!
開催日時:2023年2月12日(日)・2月13日(月)・2月27日(月)
企画運営協力 :株式会社FabCafe Nagoya、Metalium llc.